「救急救命士」と「消防士」の違いを聞かれたとき、その違いをはっきりと説明できるでしょうか。
結論から言うと、消防士は「職業(および階級)」であり、救急救命士は「資格」という違いがあります。
両者の違いを知っておくことは、進路選択をするうえで非常に重要です。
本記事では、救急救命士と消防士の関係性をまず整理したうえで、それぞれの役割の違い、救急救命士の資格でできること、資格取得のルートまで、わかりやすく解説します。
救急救命士を取る、もしくは消防士を目指すか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
TOMO LABOオンライン×最短で東京消防庁合格を目指せる「東消塾」を運営している、TOMO LABOが解説します!
救急救命士と消防士の違いとは?


消防士は、地方公務員として消防本部や消防署に勤務する職業の通称で、正しくは「消防官(消防吏員)」です。
さらに、消防官の階級制度の1番下に「消防士」という階級があります。
一方、救急救命士は職業や職種を指すものではなく、医療系の国家資格のことで、特定の救急救命処置を行うための免許にあたります。
イメージは「教師(仕事)」と「教員免許(資格)」の関係性に近いですね。
資格はできることの範囲を広げますが、資格があるだけで必ずその職場で働けるわけではありません。
両者の詳細や関係性について、より具体的に見ていきましょう。



本記事で言う消防士は、基本的に消防官(仕事)のことを指しています!
消防士という階級について
消防組織には階級制度があり、消防士はその中でもっとも下の階級です。
- 消防士
- 消防副士長
- 消防士長
- 消防司令補
- 消防司令
- 消防司令長
- 消防監
- 消防正監
- 消防司監
- 消防総監
消防士採用試験に合格して消防学校を卒業すると、まず「消防士」という階級からスタートします。
その後、実務経験を積み昇任試験に合格することで、消防副士長、消防士長へと昇進していく仕組みです。
消防士の階級では、消火や救助などの基本的な消防活動に加え、車両や資機材の点検・整備、上位階級者の指示に従った業務などを担います。



消防士の階級について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください!
消防士の中に救急救命士の資格を持つ人がいる
消防士として働く人の中には、救急救命士の国家資格を持っている人と持っていない人がいます。
救急救命士の資格を持つ消防士は、救急隊員として配属された際に、より高度な救急救命処置を行うことが可能です。
東京消防庁では、救急隊員の8割弱が救急救命士の資格を保有しており、救急現場の最前線で活躍しています。
階級が消防士であっても、救急救命士の資格を持っていれば、救急隊員として十分に活躍できるでしょう。



ちなみに、救急救命士は消防組織以外にも、病院やクリニックの救急外来で働くことも可能です!
救急救命士の資格がなくても救急隊員になれる
救急救命士の資格を持っていなくても、消防士として採用されれば救急隊員として働くことは可能です。
資格を持たない救急隊員は、救急に関する課程を修了することで、基本的な応急処置や搬送業務を担当できます。
ただし、気管挿管や薬剤投与などの高度な救急処置は行えないため、より専門性の高い処置が必要な場面では、救急救命士の資格保持者が対応します。
消防士として働く救急救命士の役割


救急救命士の資格を持つ消防士は、できる処置が増えるだけではありません。
救急の現場では、医師の指示のもとで高度な救急行為を行いながら、搬送中の判断や医療機関との連携まで担う場面が増え、自然と責任も大きくなります。
本章では、消防士として働く救急救命士が、現場でどのような役割を任されるのかを具体的に解説していきます。
医師の指示のもと救急車内で「特定行為」を行う
救急救命士の資格を持つ人は、医師の具体的な指示(無線や電話等)のもとで、法律で定められた「特定行為」を実施できます。
- 輸液(静脈路確保のための点滴)
- 気道確保(気管挿管)
- 薬剤投与(アドレナリン、ブドウ糖)
医師との対話や医療機関との連携が必要になるため、処置の知識・技術だけでなく、コミュニケーション能力も非常に重要です。



この時、資格を持たない隊員は、救急救命士を持つ隊員のサポートを行います!
救急隊の中核を担う
東京消防庁を例に挙げると、救急隊は基本的に救急隊長・救急員・救急機関員の3人で構成され、最低1人は救急救命士の資格を持っている必要があります。
救急車内における傷病者への対応は、救急救命士を持つ隊員が中心となって行うため、必然的に隊の中核を担うことになります。
他の隊員への指示をすることもあり、救急活動全体をリードする存在として欠かせません。



「中核を担う=全部自分でする」のではなく、各々の役割が機能するように回すことが大切です。
他の隊員への指導・助言をする
救急救命士を持つ消防士は、資格を持たない救急隊員に対して、救急活動の技術や知識の指導をすることがあります。
日々の訓練では、心肺蘇生の手技や資機材の使い方、傷病者への接し方などを指導し、救急隊全体のレベルアップを促します。
また、救急現場での経験を共有し、若手の隊員の成長をサポートすることも大切な仕事です。



ゆくゆくは、消防学校や救急救命士養成所の講師を担う可能性もあります!
救急救命士の資格を取得する2つのルート


救急救命士の資格を取るには、以下の2つのルートがあります。
- 救急救命士を取れる課程がある学校に通う
- 救急隊として実務経験を積んで受験資格を得る
どちらのルートをたどるにしても、国家試験を受ける必要がある点には注意が必要です。
もしも資格の取得を考えている場合は、どちらのルートで取るか決める際の参考にしてみてください。



厚生労働省が発表しているデータによると、2021年〜2025年の直近5年の合格率は、平均で92%と高めです!
救急救命士を取れる課程がある学校に通う
1つ目のルートは、救急救命士の養成課程のある大学や専門学校で学び、在学中に国家試験を受験して資格を取得するルートです。
養成課程で解剖学や生理学などの基礎医学から、救急医療の専門知識を学び、実習も行います。
卒業時に受験資格が得られ、国家試験に合格すれば救急救命士の資格を取得できます。
このルートのメリットは、消防士として採用された時点ですでに資格を持っているため、早期に救急隊員として配属される可能性が高いことです。
ただし、採用試験において救急救命士の資格保有が必ずしも有利に働くわけではありません。
筆記試験や体力試験、面接試験の結果で総合的に判断されるため、資格の有無だけで合否が決まることはないことを理解しておきましょう。



とはいえ、面接試験でアピールポイントにはなるため、資格を持っていない他の受験生との差別化は図れます!
救急隊として実務経験を積んで受験資格を得る
2つ目のルートは、まず消防士に採用され、救急隊員として5年以上または2,000時間以上の実務経験を積んだ後、救急救命士養成所で6ヶ月以上の課程を修めて受験資格を得るルートです。
上記の過程を踏んでも「受験資格を得る」というだけで、試験に合格しなければ翌年の試験まで持ち越しとなってしまう点には注意しましょう。
このルートのメリットは、実際の現場を経験してから資格を取得するため、より実践的な立場から専門知識を学べることです。
習ったことをすぐさま現場で活かせることでしょう。
また、養成所に入所する費用や授業料も必要ない場合がほとんどです。



ただし、働きながら勉強しなければならないため、負担が大きくなることは心に留めておきましょう。
どちらのルートにもメリット・デメリットがある
どちらのルートで救急救命士を取得する場合でも、メリット・デメリットは存在します。
入庁前に資格を取得する場合は、入庁後すぐに救急隊に配属されることや、じっくりと知識を学べるといったメリットがある一方で、経済的な負担が大きいというデメリットがあります。
入庁後に取得する場合は、経済的な負担がないというメリットがある一方で、受験資格を得るまでの期間が長く、自分の取りたいタイミングで資格が取れないことがデメリットです。
どちらのルートで救急救命士を取るのか決める際は、必ず自分の状況や目標を確認しましょう。
- 早期に救急の専門家として活躍したい人
- じっくり勉強する時間を確保したい人
- 面接試験で少しでもアピールポイントが欲しい人
- 救急隊以外の部隊でも幅広く経験を積みたい人
- 現場経験をしたうえで専門知識を学びたい人
- 経済的な負担を抑えたい人
救急救命士を取得して活躍できる人の特徴


救急救命士をせっかく取得しても、適性がなければ現場で活躍することはできません。
救急救命士を取得した後、現場で活躍できる人に共通する特徴は以下の3つです。
- プレッシャーに強く冷静な判断ができる人
- 体力に自信がある人
- 責任感が強く最後まで諦めない人
進路選択後のミスマッチを防ぐためにも、自分が当てはまっていないかチェックしてみてください。



もし当てはまっていた場合は、今から改善する努力をしておくとよいでしょう!
プレッシャーに強く冷静な判断ができる人
救急の現場は常に緊迫感のある状況です。
重症の傷病者や心肺停止状態の患者に対応する際、パニックにならず冷静に状況を判断し、適切な処置をしなければなりません。
また、傷病者の家族や現場に居合わせた人々が動揺している中で、落ち着いて指示を出し、現場をコントロールする精神的な強さも必要です。
そのため、プレッシャーのかかる場面でも冷静でいられる人が活躍できるでしょう。
体力に自信がある人
傷病者への対応や、夜間の出動、搬送の補助などを毎日続けるのは、想像以上にハードです。
体力がないと思考が鈍り、身体もうまく動かなくなってしまうため、適切な判断・処置ができなくなってしまいます。
当然、業務に対する慣れも関係しますが、それ以上に基礎体力がないと仕事が成り立ちません。
そのため、日頃からトレーニングを欠かさない、体力のある人が現場で活躍できます。
責任感が強く最後まで諦めない人
救急救命士の資格で許可される処置は、すべて人の命に関わる処置です。
どんなに厳しい状況でも、傷病者の命を救うために責任感を持ち、最後まで諦めずにできる限りの処置を施す覚悟が求められます。
また、知識や技術のアップデートを定期的に行い、向上心を持って仕事に取り組む意識も重要です。
命を預かる重みを受け止められる人ならば、救急救命士の資格を存分に活かせることでしょう。
まとめ
救急救命士と消防士の違いは、それぞれ「資格」と「職業」という性質の違いにあります。
消防組織の中で言えば、消防士という職業の中に、救急救命士という国家資格を持った救急活動の専門家がいるという関係性です。
救急救命士の資格は、入庁前と入庁後に取る2つのルートがありますが、どちらのルートを通るにせよ、まずは消防士の採用試験に合格しなければなりません。
「東消塾」では、元東京消防庁OBや、経験豊富な元予備校講師が、筆記試験から論文・面接まで一貫したサポートを提供しています。
独学で合格できるか不安な方は、ぜひ入塾を検討してみてはいかがでしょうか。



今なら無料で合格診断もしていますので、以下のリンクから申し込みをしてみましょう!
\試験や仕事に関する無料相談も実施中/











コメント