消防士になるためのオンラインスクール「東消塾」の講師と代表を務めるTOMO LABOです。
火災現場に急行し、人々の命と安全を守る仕事「消防士」。
とても人気が高く、憧れる人の多い職業の1つですが、どんな仕事をしているのか細かく知っている人はあまり多くはいません。
今回の記事では、「消防士の仕事内容」というテーマで、消防士がどのような業務を請け負い、どのような勤務体制なのかを、元東京消防庁職員である筆者が詳しく解説します。
消防士に興味を抱いている人は、自分が消防士になったときの姿をイメージしやすくするためにも、ぜひ最後までご覧ください。
\消防士に関する情報を発信中!/
消防士の仕事内容にはどんなものがあるのか
消防士はどのようなことをする仕事なのかと聞くと、おそらくほとんどの人が「火を消す仕事」や「火事現場から人を救助をする仕事」と答えるはずです。
それ以外の仕事内容は実はあまり知られておらず、パッと思いつく人も少ないでしょう。
消防士は普段どのような仕事をしているのか、主な仕事内容をまとめました。
火災を未然に防ぐ予防活動や報告書を作る机上業務(デスクワーク)など、緊急時以外に行う業務も多いことも知っておきましょう。
さらに、空いている時間でトレーニングをしたり、業務に関する勉強をしたりと、上記の業務以外にもやることは常にあります。
消火活動
消火活動は、その名のとおり火災が発生したときに消火をする業務です。
火災が発生すると、消防本部より出動指令がくだされます。
消防隊は通常5人1組で構成され、現場に到着したら最優先におこなうのが、人命の救助と初期消火。
出動から10分以内にはほぼ確実に建物への放水が始まるほど、消防士の行動・対応は迅速です。
消火活動は消防士の象徴的な業務でもあるため、無事に消化を終えた後にはやりがいを強く感じます!
救助活動
救助活動は、火災をはじめ、あらゆる現場で人命救助をおこなうレスキュー業務です。
人命救助に特化した「救助部隊」がこの業務にあたり、地震や津波など、大規模な災害の際には管轄区域に関わらず、全国に派遣されることもあります。
- 自然災害の現場
- テロや事件が起こった現場
- 川・海・山などで起こる事故現場
緊急性が高い業務のため、日々の訓練は欠かせません。
いざという時に迅速な対応ができるよう、実際の現場を想定した緊張感のある厳しい訓練を積んでいます。
「人の命を守る」という大きな仕事を成し遂げたときには、他の仕事にはない大きなやりがいを感じられるはずです。
救急活動
救急活動は、けが人や重病人に対して適切な応急処置を施し、医療機関に搬送する業務です。
「救急隊員」の資格を持つ消防士がこの業務にあたりますが、「救急救命士」の資格があればより高度な救助活動ができます。
実は、この救急活動は出動の過半数を占める重要な仕事です。
一刻を争う事態であることが多いため、自分が対応して命を救えた際には、間違いなくやりがいを感じられるでしょう。
救急車に乗っている人は実は消防士です!誰もがこの業務に携われるわけではないからこそ、魅力的な仕事でもありますね。
予防活動
予防活動は、火災や災害を未然に防ぐための活動です。
- 施設の消防設備・警報設備・避難設備の点検や整備
- 立入検査や建物の管理者への指導
- 防災の講習会
ちなみに、消防設備を点検するには「消防設備士」もしくは「消防設備点検資格者」という資格が必要です。
消火・救助など緊急時の業務に比べると目立たない仕事ではありますが、社会の安全と安心を守るための仕事として、やりがいを感じられます。
特に学校等で講習会を実施した際には、生徒が消防士に対して興味や関心を持って接してくれるため、とても良い経験になりました。
机上業務
机上業務は、出動要請がないときに行うデスクワークのことです。
意外にも消防士はデスクワークが多く、多少なりともタイピングスキルやWord・Excel等の知識を持っておく必要があります。
- 火災原因を明らかにするための原因調査書の作成
- 消防署に届く各種届出に対する受理・指導
- 業務日誌の作成
- 車両の運行日誌の作成
- 出動報告書の作成
非出動時には机上業務に追われる消防士もいるほど、書類の作成が多いです。
この業務に関しては「やりがい」を感じづらいですが、それでも次第にパソコンのスキルが身につくため、スキルアップしている実感は得られるでしょう。
消防士がこういった地味な仕事をしているからこそ、人々の暮らしの治安が守られているという部分もあります。
消防士の基本的な部隊編成について
消防士はそれぞれの業務に専門性のある「部隊」に分かれて活動します。
消防本部ごとに組まれる部隊の数は異なり、5つ程度のところもあれば、10以上の部隊に分かれるところもあるなどさまざまです。
すべてを載せると膨大な量になってしまうので、主な部隊を5つご紹介します!
上記の部隊はどの消防本部にもあるものですが、本部によっては地域への広報活動を担う「音楽隊」や、テロや特殊兵器での災害時に出動する「機動部隊」、空から救助・消火活動をする「航空部隊」など、さまざまな部隊があります。
消防隊
消防隊は、消防車で火災現場に急行し、消火活動にあたる部隊です。
火災以外の災害現場でも活動することがあり、救助活動や救急活動など、消火以外にも幅広く業務を請け負います。
僕がいた東京消防庁では「ポンプ隊」と呼ばれていました。
救急隊
救急隊は救急車に乗車し、けが人や重病人に対して応急処置を施したり、医療機関に搬送したりする部隊です。
少なくとも1人は「救急救命士」が搭乗しています。
救急車に乗っているのが消防士だということは、意外と知られていません!
はしご隊
はしご隊は、10~50mのはしごを積んだ「はしご車」で災害現場に急行し、高層の建物から消火・救助活動を行う部隊です。
はしごを扱うには特殊な技能が必要になるため、技能研修や検定を受けつつ他の部隊でキャリアを積むことが必要になります。
ちなみにですが、はしご車は他の消防車よりもかなり高額なようです。
救助隊
救助隊はレスキュー隊とも呼ばれ、災害時の人命救助を専門とする部隊です。
過酷な現場での活動になるため、業務を完遂するための強靭な肉体と精神が必要になります。
特殊兵器やテロによる災害時にも対応しなければならないため、体力はもちろん、技術にも秀でている人しかなれません!
指揮隊
指揮隊は、災害現場へ急行する各部隊の活動方針を決定し、指揮車内から指揮・統制をおこなう部隊です。
現場の情報収集をするためにドローンを活用するなど、昔と比べて情報収集の効率が良くなり、より適切な指揮が可能になりました。
指揮車には、その現場を総轄する「消防指令長」という階級の人が搭乗しています。
消防士の階級と担う職務について
消防士には、警察官や自衛官と同様に階級があります。
一般的には消防署で働く人をまとめて「消防士」と呼びますが、階級で分けると「消防士」は1番下の階級です。
消防士の階級について、担う業務とあわせて表にまとめました。
表の下に進むに連れて階級が低くなります!
階級 | 階級名称 | 担う職務 |
---|---|---|
消防総監 | 東京消防庁の消防長 | |
消防司監 | 政令指定都市の消防長 | |
消防正監 | 消防吏員の数が200人以上 又は人口30万人以上の市町村の消防長 | |
消防監 | 消防吏員の数が100人以上 又は人口10万人以上の市町村の消防長 | |
消防司令長 | 消防吏員の数が100人未満 かつ人口10万人未満の市町村の消防長指揮隊長 | |
消防指令 | 所長・課長・課長補佐・係長指揮隊長 | |
消防司令補 | 課長補佐・係長・主任隊長 | |
消防士長 | 主任・副主任隊長・機関員・隊員 | |
消防副士長 | 係員機関員・隊員 | |
消防士 | 機関員・隊員 |
この中でも現場に立って消防活動をおこなうのは「消防司令補」までで、それよりも上の「消防指令」や「消防司令長」になると、現場に行っても指揮車内で隊員の指揮を執るのみになります。
「消防監」以上の階級になると本部内のみの勤務になり、現場へおもむくこともありません。
消防士の将来性やキャリア形成について
消防士になろうと思ったら、将来ずっと安定して稼いでいけるのか、将来どのようにキャリアが築けるかなど、気になる人も多いはず。
結論から述べると、消防士は一生働ける仕事です。
なぜ一生働けるほど安定し、キャリアアップもできるのか、詳しく解説していきます。
消防士という仕事は将来安泰なのか
消防士は地方公務員のため、雇用や給与が安定しています。
今後AIに代替される仕事でもなく、高齢化が進むことで急病や不意の事故が多くなり、出動回数が増えていくことが予想されるため、仕事自体はなくならないと考えてよいでしょう。
AIによって救助方法や現場の情報収集のバリエーションが増えることはあるでしょうが、無人でできる仕事ではありません!
消防士はどのようにキャリアアップしていくのか
消防士には、いわゆる「キャリア組」と呼ばれる人はいません。
勤続年数や業務経験を積み上げ、1年に1回ある昇任試験に受かることで、だんだんとキャリアアップしていきます。
「消防監」以上のキャリアは昇任試験ではなれませんが、それでも学歴に関係なくここまでキャリアアップできるのは嬉しいポイントです。
救急隊なら「救急救命士」など、自分が配属されたい隊に沿った資格を取れば、これもまたキャリアアップに繋がります!
消防士の勤務体制や休日数について
消防士がどんな仕事なのかわかったところで、次は消防士が「どのように働いているのか」について解説していきます。
消防士は「交代制勤務」で働くため休みが多い
現場に出る消防士は、交代制勤務という勤務形態をとっています。
交代制勤務は、署によって時間は異なるものの、朝8時30分ごろから次の日の朝8時40分ごろまで消防署で勤務し、24時間休み(非番)がもらえるという勤務形態のことです。
この交代制勤務は、サイクルの違いで「2交代制」と「3交代制」に分けられます。
2交代制
「2交代制」は、基本的には1日働いたら1日休み(非番)で、さらに週休が2日挟まるというサイクルです。
非番は、出動要請時に呼び出しがかかることもある待機日になります。
上記のカレンダーはあくまで一例です。土日に休みがもらえる人もいれば、平日しか休みがない人もいます。
3交代制
「3交代制」は、1日働いたら2日休み(非番と週休)というサイクルです。
月に1日(タイミング次第で2日)ある日勤は、朝8時30分ごろ〜17時15分ごろまで働く日で、デスクワークが中心となります。
日勤の1日のスケジュールは、一般的な企業勤めの人と同じです。
消防士は休みが多い
「2交代制」と「3交代制」のカレンダーを見るとわかるのですが、消防士は非番の日を休日とみなせば、出勤日はひと月に11日前後しかありません。
勤務日の拘束時間は長いですが、その分休日数は多くなっています。
さらに有給が年間20日もらえるため、それも合わせると年に何度も連休を作ることも可能です。
消防士の勤務地はどこになるのか
消防士の勤務地は、自分が採用試験を受けた市町村の消防本部や消防署です。
消防学校卒業時に多少は勤務地に関する希望を聞いてくれますが、自分では決められず、人事が配属先を決めます。
異動が命じられることもあり、勤務先が変わる可能性も。
その場合でも県外に飛ばされることはなく、今いる本部や署の管轄内での異動になります。
消防士の仕事内容に魅力を感じた人に伝えたいこと
消防士がどのような仕事をしているのか、またどのように働いているのかを知ったうえで、これから消防士を本格的に目指そうと思う人もいるかもしれません。
そういった人に向けて、実際に消防士として働いていたこともある筆者から、3つ伝えたいことがあります。
消防士の採用試験はとても難しい
伝えたいことの1つめは、消防士になりたいと思っても簡単になれるものではないということです。
消防士の採用試験は難易度がとても高く、倍率も毎年非常に高くなっています。
そのため、合格しようと思ったら入念な試験対策が必要です。
- 筆記試験
- 小論文
- 適性試験
- 体力試験
- 面接
この中でも小論文と面接の配点が特に高く、優先して対策を練る必要があります。
筆記試験は膨大な範囲から出題されるため、しっかりと勉強しておかないと、不合格になること間違いなし。
そもそも問題が難しいということもあり、採用試験に受かりたいならそれなりの努力が必要です。
消防士を目指すことが決まったら、できるだけ早い段階で試験対策を始めましょう。
消防士はやりがいはあるが大変な仕事
消防士はとても魅力的でやりがいのある仕事です。
- 地域や社会に貢献していることを実感できる
- 救助をした人から直接お礼を言ってもらえる
- 隊員同士の連帯感や絆が感じられる
このようにやりがいのある仕事ではあるものの、人の命を預かる重要な仕事でもあるため、決して楽ではありません。
危険な現場におもむくこともあれば、プレッシャーに押し潰されそうになることもあります。
どの職業にも共通することではありますが、魅力と同時に大変さもあることを忘れないようにしましょう。
本気で消防士になりたいなら「東消塾」
僕が運営する「東消塾」は、消防士の採用試験合格に特化したオンラインスクールです。
前述したとおり、採用試験は非常に高難度で、合格できずに消防士になる夢を諦めてしまう人も多くいます。
そこで、絶対に試験に合格したいという人は「東消塾」を受講してみましょう。
- 学習効率の高い「自主学習」をベースにしたカリキュラム
- 受講者1人1人に合わせた個別の学習スケジュールを作成
- 元消防士が講師として在籍し、生きた情報が得られる
- 試験に関する質問が、24時間365日いつでもできる
- 他のスクールや予備校に比べ、良心的な料金設定
独学で試験対策をすることも可能ですが、徹底的な学習管理や試験に関する情報収集を、すべて自分1人でする必要があります。
そんなことをしている間にライバルに差を広げられ、合格が遠のいては元も子もありません。
気になった人はぜひホームページもご覧ください!
まとめ:消防士には5種類の仕事内容を中心にさまざまな業務がある
消防士の仕事には、主に以下の5種類の業務があります。
- 消火活動
- 救助活動
- 救急活動
- 予防活動
- 机上業務
各業務の中でも、階級によって割り振られる役割はさまざまです。
自分の望む業務にあたるためには、勤続年数を積み上げ、適切な現場で経験を積み、資格を取得することが必要になります。
実際に消防士になったらやるべきことがたくさん出てきますが、どの仕事内容もすべては国民の安全や安心を守るためのものということを忘れないようにしておきましょう。
\消防士に関する情報を発信中!/
コメント