消防士になるためのオンラインスクール「東消塾」の講師と代表を務める友口です。
消防士を目指している人にとって、どうやって自分のキャリアパスを形成していくのか考えるのはとても重要なこと。
今後のキャリアを考えるのは、試験勉強のモチベーションアップに繋がりますし、消防士になってからの目標も明確になるでしょう。
そこで、今回の記事では消防士のキャリアパスについて、以下のことを中心にご紹介します。
消防士になるという夢を叶え、ガツガツとキャリアを築いていきたいという人は、ぜひ最後までご覧ください。
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実は消防士に出世コースはない!?
官僚(国家公務員)のいる警察官とは違い、消防士には出世コースというものがありません。
消防士は階級に関わらず、全員が地方公務員。
総務省消防庁に勤める人は官僚ですが、こちらは現場に出ることは一切なく、階級もありませんし、消防士とは違う仕事です。
消防士は基本的に出世コースのない仕事ですので、誰でも上の階級を目指していけます。
ちなみに、東京消防庁と総務省消防庁はまったくの別物です。
紛らわしいですが、東京消防庁は東京都を管轄している消防組織のことを指します。
そもそも消防士の階級にはどんなものがあるか
10階級を上の階級から順に紹介しますが、少々長くなります。
下記のリンクの知りたい階級をクリック(タップ)すると、そこまでジャンプできますよ。
1番下の階級に「消防士」を見つけた人は、あれっと思ったかもしれませんね。
そのことに関しても、後ほど詳しく解説していきます。
消防士
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員
「消防士」というのは実は1番下の階級に属する消防士のことです。
一般的にいわれる消防士という単語は、実は消防吏員(しょうぼうりいん)の俗称なんですね。
先輩職員しかいない立場で、消防活動時以外にも数々の雑用をこなすため、1番大変な時期とも言えます。
このブログでは、消防士という単語を一般的な呼び名として使っています!階級としての「消防士」は基本的に使いません。
消防副士長
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員
上記のように役職は各消防本部・消防署で与えられていますが、場合によっては消防副士長という階級がそもそも存在しないこともあります。
ある程度の勤続年数があれば、自動的に消防副士長に昇任できるという消防本部・消防署もあるそうです。
消防士長
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
本部:係員
消防署:隊員・係員
消防士長は、現場の中心で放水役として活躍します。
順調に昇任すれば20代のうちから消防士長になれますが、これより先の階級は消火活動をする機会が減ってしまうため、1つ上の階級である消防司令補にはあえて昇任しないというベテランもいるそうです。
また、消防士長まで昇任すれば、ほとんど雑用をすることはありません。
消防司令補
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:主任
消防署:主任・中隊長・小隊長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:主査・主任
消防署:小隊長・係長 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:主査
消防署:係長・主査 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:係長
消防署:係長・中隊長 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
本部:係長
消防署:係長・中隊長・小隊長
一般的に現場の隊長を任されるのがこの消防司令補で、これよりも上の階級になると、現場指揮以外で出ることが少なくなります。
消防士全体でもっとも人数の割合が多い階級で、25%前後の消防士がこの消防司令補です。
消防司令
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:課長補佐・係長
消防署:大隊長・課長補佐・係長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:課長補佐・係長
消防署:中隊長・課長 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:課長
消防署:中隊長・小隊長・課長補佐 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:課長補佐
消防署:課長補佐 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
本部:次長・課長・課長補佐
消防署:署長・副署長・大隊長
消防司令は一応現場には出動するものの、前線で消火・救助活動等をすることはほとんどなく、現場の指揮をするのみになります。
1つ上の階級である消防司令補と同じく、25%前後と人数の割合がもっとも多い階級です。
消防司令長
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:副参事・課長
消防署:副署長・課長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:課長
消防署:大隊長・課長 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:課長
消防署:副署長・大隊長 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
本部:次長・課長
消防署:署長・課長 - 隊員数100人未満かつ人口10万人未満の市町村
消防本部の消防長
消防司令長まで昇任すると、現場に出動することすらありません。
24時間勤務で交代制の消防士たちとは異なり、一般的なサラリーマンと同じように朝から夕方まで勤務し、土日祝日が休みとなる毎日勤務という勤務形態になります。
消防監
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:参事・課長
消防署:署長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:課長
消防署:副署長 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
本部:課長
消防署:副署長・大隊長 - 隊員数100人以上・人口10万人以上の市町村
消防本部の消防長
消防監まで昇任できる人は、全体の約1%しかいません。
小規模の消防署にはそもそも消防監という階級がなく、昇任自体も40代では難しいでしょう。
消防正監
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
本部:方面本部長・消防学校長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
本部:次長・部長
消防署:署長 - 隊員数200人以上・人口30万人以上の市町村
消防本部の消防長
東京消防庁においては、消防正監は消防学校の校長でもあります。
昇任できるのは、50代後半からと考えてよいでしょう。
消防司監
画像引用:Wikipedia
- 東京消防庁
次長・理事・部長 - 政令指定都市の消防局・人口70万人以上の市町村
消防本部の消防長
消防司監は、各自治体のトップです。
議会へ出席させられることもあります。
消防総監
画像引用:Wikipedia
消防総監は東京消防庁の消防長(トップ)であり、日本の消防士の中で最高位の階級で、全国で1人しかいません。
前述のとおり、トップと言ってもキャリア組ではなく、あくまで地方公務員です。
各市町村の消防長と権限は同等で、上官として命令を下すことはできません。
消防士が階級を上げる方法
消防士が階級を上げるには、以下の2つの方法があります。
各自治体によって差はありますが、一般的に消防司令補〜消防司令長までの階級は、昇任試験を受けることで昇任できます。
しかしそれ以上の階級になると、上司からの推薦を受けなければ昇任できません。
実際にどのような流れで昇任していくことになるのか、詳しく見ていきましょう。
昇任試験に合格する
年に一度ある昇任試験に合格することで、ある程度のポジションまでは階級を上げられます。
しかし昇任試験は誰でも受けられるというわけではありません。
各自治体によって条件は異なりますが、どのような条件があるのか一例をご紹介します。
- 消防副士長
高卒で5年以上、大卒で3年以上の勤務実績で受験可能 - 消防士長
消防副士長として高卒なら5年以上、大卒なら3年以上の勤務実績で受験可能 - 消防司令補
消防士長として5年以上の勤務実績で受験可能
上記のとおり、消防士になってからなるべく早く昇任したいと考えているなら、大卒程度の資格を有する採用区分で消防士になる必要があります。
高卒でも勤続年数が長くなればちゃんと昇任できるため、高卒の資格しかない人も心配しなくて大丈夫です!
上司からの推薦を受ける
消防司令長(自治体によっては消防司令補や消防司令)よりも上の階級へ昇任するときには昇任試験がなく、上司からの推薦がなければ昇任できません。
そのため、階級の高い上司のもとに着けるかどうかや、その上司に気に入られているかどうかが重要になってきます。
実績だけではなく、ある程度運も必要になってくるでしょう。
昇任試験の内容を紹介
昇任試験は1次試験と2次試験に分かれており、内容は各自治体によってさまざまです。
その中でも、今回は一般的な形の試験内容をご紹介していきます。
1次試験
1次試験では、筆記試験と論文試験があります。
問題の例は以下のとおりです。
筆記試験:関係法規・一般常識・警防・予防 など
論文試験:時事問題・消防に関わる政策・職務上の役割について など
当たり前ですが、階級が上がるたびに試験の難度は上がっていきます。
2次試験
1次試験に合格すると、約1ヶ月後に2次試験が始まります。
一般的な試験内容は以下のとおりです。
面接試験:今の自身に関すること・昇任後に関すること・プレゼン など
実技試験:指揮訓練・訓練礼式 など
この試験の出来によって自身の昇任が決まるため、緊張は免れません。
落ちてしまう人もいるため、ライバルに負けないだけの努力が必要です。
消防士が出世することによるメリット・デメリット
階級の解説時に少しだけ触れましたが、全員が必ず出世(昇任)したいと考えているわけではありません。
そこで、出世によるメリット・デメリットにどんなものがあるのかを解説していきます。
出世するメリット | 出世によるデメリット |
---|---|
給料が増える 職場内での扱いが良くなる より中心的な業務に携われる | 責任が増す 現場に立てなくなる |
特に注目したいのが、出世によって現場に立てなくなるという点です。
現場の最前線で人々を救う姿に憧れて消防士になった人にとって、現場から遠ざかってしまうのは残念でなりません。
そのため、一定の階級まで上がったらそれ以上の出世は望まない人が出てきます。
出世によるメリット・デメリットは、自身のキャリアパスを考えるときの重要なポイントです。
まとめ:出世するかどうかは完全に自分次第
消防士の階級の上がり方ついて、覚えておきたいことをまとめました。
- 消防士にはいわゆるキャリア組はいない
- 一定階級まで昇任すると、現場業務からは遠ざかる
- 出世するには昇任試験の合格が必要で、上位の階級になるには上司の推薦が必要
まだ消防士になっていない段階でも、キャリアのことをしっかりと考えておくことで、そこから逆算して自身のするべきことが見えてきます。
試験対策のモチベーションアップにも繋がりますし、絶対にこのポジションに就くんだという活力が湧いてくるはずです。
まずは採用試験を突破して消防士になり、どんどん階級を上げていって活躍していきましょう。
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