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ネットやSNSで「消防士はやめとけ」というワードをよく目にすることはありませんか?
消防士は、身体を張って人の命を守る、国にとってなくてはならない仕事です。
そんな消防士が、なぜ「やめとけ」と言われてしまうのでしょうか。
今回の記事では元消防士である筆者が、「消防士はやめとけ」と言われてしまう理由や、そう言われるほど大変な仕事なのかを解説していきます。
「消防士を目指したいのに、悪い評判が気になって踏み出せない」という人は、ぜひ最後までご覧ください。
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「消防士はやめとけ」と言われる理由
「消防士はやめとけ」とよく言われるのは、主に以下の3つの理由があります。
上記の理由を理解しておけば、「それなら自分にも耐えられそう」と判断できるようになるでしょう。
それぞれの理由について、詳しく解説していきます。
体育会系気質の業界だから
消防士は身体を張る仕事というだけあり、体育会系の気質があります。
そのため、以下のような人は消防士になっても苦労する可能性が高いでしょう。
- 今まで厳しい環境で育ってきていない人
- 人から怒られ慣れていない人
- 協調性が育まれていない人
消防士は上下関係がとても厳しい仕事です。
消火や救助活動をするときに連携が必要なため、上下関係はどうしても厳しくならざるを得ません。
とはいえ、新人は必要以上の厳しさを感じることが多く、体育会系の気質が苦手な人からは「やめておいた方がいいんじゃないの?」と思われてしまいがちです。
僕は高校時代の部活動がとても厳しかったため、体育会系の雰囲気に慣れていたため大丈夫でした!
危険な現場に出動することもあるから
消防士は、命がけの危険な現場に出動することがある、リスクの高い職業です。
総務省消防庁が発行した令和4年版の「消防白書」によると、令和3年中における公務によって死亡した消防士は2人、負傷した消防士は1,460人となっています。
いくら厳しい訓練を積んでいても、現場が訓練と同じ状況であるはずがありません。
どうしても事故に巻き込まれる消防士が出てきてしまうため、普通の仕事をしている人からすると、命を落としかねない消防士になるのは「やめとけ」と言われてしまいます。
危険な現場に何度も出動させられると、さすがに精神的にキツくなることもありました…
生活が不規則になるから
消防士は勤務日と休日とで生活のリズムが不規則になりやすい職業です。
筆者が勤めていた東京消防庁の場合、朝8時30分から次の日の朝8時40分まで消防署で勤務し、24時間休みが与えられるというスケジュールでした。
仮眠は設けられているものの、夜間の出動要請があった場合はすぐに起きて出動する必要があるため、睡眠時間が足りなくなる日も。
休日は休日でまたリズムが変わるため、規則正しいリズムで生活する人からすると、消防士の生活は身体に悪そうだからやめておいた方がいい、という印象を持たれてしまいます。
これは慣れたらそこまで苦ではありません!
消防士として働いていてツラくなること3選
過去に東京消防庁に勤めていた筆者が「消防士になるのは辞めておけばよかった」と、消防士時代に挫折しかけた要因が3つあります。
消防士として働くツラさをあらかじめ知っておけば、消防士になる前に心の準備ができるようになるでしょう。
上記のことは、おそらく僕だけではなく、多くの消防士が感じることでもあるはずです!
職場の人といる時間が長い
消防士は、勤務日・休日にかかわらず、職場の人と過ごさなければならない時間が長いのが苦痛です。
- 1日の勤務時間が24時間あるから
- 飲み会の開催頻度が高いから
消防士は1日の拘束時間が長く、食事の時間ですら職場の人と同じ場所にいる必要があるため、勤務日においては夜間の自由時間と仮眠時間以外、常に上司や同僚と一緒です。
また、消防士は上司から飲み会に誘われることが少なくありません。
そのため、休日でも職場の人と一緒に過ごす時間が生まれます。
1人になれる時間があまりなく、ツラくなることが何度もありました…
肉体的・精神的にキツい
消防士は危険な現場に出動することもあるため、肉体的にも精神的にも大変です。
まず消防活動中の服(防火衣)と装備だけで10kg以上あるため、現場で業務にあたるだけで体力が削られます。
長時間にわたる作業や凄惨な現場での作業だと、体力のみならず精神力もすり減らすことに。
そこに職場における人間関係の疲れや24時間という長い勤務が加わることにより、身体も心も疲れ果ててしまいます。
肉体と精神、どちらも強くないとなかなか続けられない仕事です!
理想と現実とのギャップを感じる
消防士になる前に思い描いていた理想と、消防士になってからの現実にギャップがあると、仕事をしていてツラさを感じてしまいます。
働く職場にもよりますが、多くの消防士が感じるであろうギャップを、以下にまとめました。
- 意外にもデスクワークが多い
- 尊敬できる先輩・上司が少ない
- 出動回数が意外に少ない
消防士にデスクワークが多いのはあまり知られておらず、報告書などの事務処理の多さにビックリする人は多いはずです。
次に先輩や上司に関してですが、中には新人に対してイジメかと思うような理不尽な当たり方をする先輩がいたり、仕事をうまくサボろうとする人がいたりして、「やる気や志が高い人以外も消防士にはいるんだ」とガッカリすることも。
出動回数が意外に少ないというのは、人口の少ない地域の消防署に勤務する人に当てはまります。
あくまで配属された消防署によって違いはあるものの、「こういうこともあるのか」と知っておくだけでも、心構えはできるでしょう。
ちなみに僕は東京消防庁の消防士だったため、出動回数は比較的多い方でした!
消防士として働いてみて良かったポイント4選
筆者が実際に「消防士になってよかったな」と思ったことを、4つご紹介します。
1番上の「やりがい」に関することだけは、勤める消防署によっては感じられる人と、感じられない人が出てきます。
人命救助の仕事がしたい人の例で言えば、そもそも火事が起こらない地域の消防署に勤務してしまうと、ほとんど出動することがなく、やりがいが感じづらいというケースも。
火事が起こらないというのは本来良いことですが、社会に貢献したいという思いが強い人にとっては、張り合いという面だけで言えば少し物足りない可能性があります。
その他の項目に関しては、どこに勤める消防士でも「よかったな」と感じるはずです。
各項目に関して、具体的に何がよかったのかを解説していきます。
仕事にやりがいを感じられる
消防士のおこなう業務は、すべてが地域社会に貢献するものですので、やりがいを感じやすいです。
消火活動や救助活動はもちろんのこと、デスクワークなどの雑務も、平和な社会づくりに多少なりとも関係しています。
筆者は東京消防庁にいたころ、何度も消火活動を経験したため、直接的に地域社会に貢献していることを感じられました。
消防活動時に隊員同士の絆が感じられたのも、やりがいに繋がっています。
消防士のやりがいや仕事の魅力について詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください。
社会的信用度が高い
消防士は地方公務員なので、社会的信用度が高くなります。
- ローンが組みやすい
- クレジットカードの審査が通りやすい
- 賃貸契約がしやすい
さらに、社会的信用度とは別枠にはなるものの、上記のことに加えて雇用や給料が安定することもメリットになります。
公務員というだけでさまざまなメリットが受けられるため、消防士になってよかったなと感じました。
意外と休みが多い
消防士はひと月の出勤日数が11日前後と少なく、意外と休みの多い職業です。
1年の約2/3が休日になるため、仕事とプライベートの両立がしやすく、家族や友人、恋人との時間も確保できます。
1日の勤務時間は24時間と長いですが、それを踏まえても休みが多いなと感じました!
健康的な身体や体型が維持できる
消防士は身体を動かす仕事ということもあり、常に健康的な身体や体型が維持できるのが嬉しいポイントです。
日々の訓練や筋トレ(体力錬成)でも筋肉が付きますし、消防活動や救助活動中にも筋力を使うため、強靭な肉体が手に入ります。
大人になると運動する習慣がなくなっていく人が多いため、消防士になって体型維持ができるのはよかったなと感じました。
周りにいる他の職業に就いた同級生と比べると、若々しいと言われることも多いです!
消防士に向いている人・向いていない人の特徴
いくら「消防士はやめとけ」といっても、その人によって向き不向きは異なります。
この章では、筆者が消防士として働いてきて感じた「消防士に向いている人と、向いていない人」の特徴をご紹介。
消防士になろうか決めかねている人は、ぜひ参考にしてください。
消防士に向いている人の特徴
自己分析をしてみて、以下の項目に当てはまる人は、消防士に向いている傾向があります。
- 規律を重んじられる人
- メンタルが強い人
- 向上心の強い人
- 体力があり健康的な人
- 土日休みでなくてもいい人
消防士は公務員ですので、国や自治体のため、人のために働く仕事です。
自分のことばかりを考えるのではなく、社会のために尽くせる人が向いています。
上記の項目はすべて「誰かのために頑張れる人」の特徴でもあるため、今一度、消防士とはどんな仕事なのかを考え、自分は消防士に向いているのかどうかを確認しましょう。
消防士になるのは向いていない人の特徴
以下の項目に当てはまる人は消防士になれないわけではありませんが、いざ消防士になったときにストレスを感じやすくなる可能性があります。
- メンタルが弱い人
- 土日休みがいい人
- 理想を抱きすぎている人
消防士は上下関係や業務内容が厳しいため、メンタルが弱いと挫折してしまう可能性があります。
さらに、一般企業に勤めていて土日休みの友人とスケジュールを合わせたい人だと、シフト勤務の消防士は時間が合わせづらくなってしまうため、ツラさを感じてしまうでしょう。
また、消防士に理想を抱きすぎていると、実際に消防士になってからの現実と理想のギャップに押しつぶされてしまうことも考えられます。
そうならないためにも、本記事内で紹介した「理想と現実とのギャップ」についてご紹介した欄をもう一度見直してみましょう。
消防士を目指すべきかどうかの判断基準
記事内で消防士のさまざまな面をご紹介してきましたが、最終的に消防士になるかどうか決めるのは、この記事を読んでいるあなた自身です。
情報が多くて消防士を目指していいのか余計に悩んでしまう人は、以下のことができるかどうかを基準に考えてみてはいかがでしょうか。
具体的にどのような基準になるのか、詳しく解説していきます。
厳しい世界で生きていく覚悟があるか
消防士を目指すなら、いかなる厳しい環境に置かれても、責任感を持って業務を果たす覚悟が必要です。
過酷な現場におもむくこともありますし、厳しい上下関係に揉まれもします。
今まで生きてきた環境以上に、より厳しい世界で生きていく覚悟があれば、消防士になってからでも折れずに頑張れるはずです。
自分よりも他人を優先できるか
先ほども少しだけ触れましたが、消防士は国のため、人のために働く仕事です。
人々の役に立つからこそ給料をいただいているわけなので、自分よりも被救助者や地域の人々を優先して行動できるかが重要になってきます。
自己犠牲をいとわず、他人の喜びが自分の喜びだと感じられることがある場合は、消防士になっても志高く仕事ができるでしょう。
まとめ:消防士になりたいなら周りの声は気にしない方がいい
今回の記事では、なぜ「消防士はやめとけ」と言われるのかを解説しました。
実際に消防士として働いていた筆者からすると、ネットやSNSで発信されている「やめとけ」という文言には違和感があります。
なぜなら東京消防庁にいた頃、たしかに大変なことも多かったのですが、それ以上に本当にやりがいのある仕事だと感じたからです。
最終的に消防士になるかならないか決めるのは自分ですので、悔いのない選択をしましょう。
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