消防士の年収は低いの?他の職業との給与比較や昇給方法について解説

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消防士の年収をネットで調べると、「消防士 年収 低い」というワードが検索候補に出てきます。

本当にそう言われるほど、消防士の月収・年収は低いのでしょうか?

そこで今回の記事では、東京消防庁で実際に働いていた経験がある筆者が、以下のことについて解説していきます。

  • 消防士の月収・年収はどのくらいなのか
  • なぜ消防士の年収は低いと言われてしまうのか
  • どうやって年収を上げていけばいいのか

「ちゃんとした給与がもらえるのかどうか」というテーマを主軸に、データや実例を交えながら、消防士の年収に関する疑問や悩みに答えていきます。

消防士の収入に関する理解が深まることで、キャリアアップするための具体的なアクションも見えてくるはず!

消防士の月収・年収について

消防庁や各府省が発表するデータをもとに、消防士の給与について解説していきます。

自身が入りたい消防署の詳しい給与を知りたい人は、各自治体の消防士募集ページをご覧ください。

初任給はどのくらい?大卒・高卒での違いも解説

基本的に消防士は、どの自治体の消防署で働くことになったとしても、合格した試験区分によって給与が異なります。

以下に、令和5年度における東京消防庁の職員募集要項に記載されている「待遇・勤務条件等」を例に挙げ、試験区分別の初任給をまとめました。

東京消防庁では、Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類・専門系の4つの試験区分に分けられています!

区分専門系採用者Ⅰ類採用者Ⅲ類採用者
 給与(地域手当込み)約266,800円約259,300円約221,800円
初年度の推定年収約3,201,600円約3,111,600円約2,661,600円
令和5年度試験はⅡ類採用なし

大卒程度の資格を持つ人が受けられるⅠ類と、高卒程度の資格を持つ人が受けられるⅢ類では、約4万円も給与に差があることがわかりますね。

専門系は【法律、建築、電気、電子・通信、化学、物理、土木、機械】の、それぞれの分野に特化した能力が必要なため、給与も多くなっています。

東京消防庁の主な職務内容や定員に関しては、こちらのページをご覧ください。

他の消防署でも同様で、大卒と高卒では当然給与が異なります!

消防士がもらえる諸手当

消防士がもらえる諸手当を、東京消防庁における情報をもとに紹介します。

各自治体により、もらえる諸手当は若干異なるので注意しましょう!

  1. 期末手当
    ボーナス・賞与のこと
  2. 勤勉手当
    業績・功績に応じて支給
  3. 住居手当
    家賃の半額を超えない範囲で、約25,000円前後支給
  4. 通勤手当
    通勤にかかる費用の支給
  5. 出動手当
    出動回数に応じて支給
  6. 救出救助手当

救急活動等に応じて支給

  1. 管制手当
    総合指令室での勤務に応じて支給
  2. 夜間緊急招集手当
    正規の勤務時間外での業務に応じて支給
  3. 査察業務手当
    消防総監が指定する消防対象物での検査業務に応じて支給
  4. 火災調査手当
    危険な火災現場での調査に応じて支給
  5. 高所活動危険手当
    はしご車での高所活動に応じて支給
  6. ヘリコプター従事手当
    ヘリコプターの搭乗に応じて支給

上記のようにさまざまな手当がありますが、その中でも【5.出動手当~12.ヘリコプター従事手当】は、過酷な現場業務に応じて支給される「特殊勤務手当」と呼ばれます。

東京消防庁で支給される手当について詳しく知りたい人は、「東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例施行規則」をご覧ください。

ちなみに、令和4年における「特殊勤務手当の平均支給額」は、約8,000円/月でした!

消防士の平均月収・年収

総務省が発表した、令和3年の「地方公務員給与実態調査」における「職種別職員の平均給与額」をもとに、消防士の平均的な月収・年収を割り出しました。

下記の数値は、すべて平均金額です!

消防士の平均給与(全地方公共団体)
  • 月額の給料:301,083円
  • 月ごとにもらえる全諸手当の合計金額:99,261円
  • 月ごとにもらえる全諸手当込みの給与:400,344円
  • 諸手当なしの推定年収:3,612,996円
  • 年ごとにもらえる期末・勤勉手当の合計金額:1,546,527円
  • 全諸手当込みの年収:6,350,655円

上記の平均給与を見るときに一点だけ注意しておきたいのが、年齢や階級が高い消防士から新米消防士、地方の消防士から都市部の消防士まで、全消防士の給与の平均値だということです。

加えて、諸手当といっても扶養手当や管理職手当など、特定の人しかもらえない手当も含まれていることも考えましょう。

若い頃の月収・年収は、割り出した金額よりも大幅に低くなります!

消防士の年収が低いと言われる理由

ネットではよく「消防士の年収は低い」と言われることがあるのですが、はたして本当に低いのでしょうか?

消防士の年収が低いと言われるのは、以下の3つの理由が考えられます。

  • 業務内容の大変さと見合っていないから
  • 他の地方公務員よりも平均年収が低いから
  • ネットで得た年収情報より低い場合があるから

客観的なデータも含めながら、消防士の年収が低いと言われる理由について解説していきます。

業務内容の大変さと見合っていないから

消防士の業務は体力や精神力を使うため、その大変さを考えると年収が低いと感じることがあります。

なぜ年収が見合っていないと感じるのか、業務における大変なことをまとめました。

  • 危険な状況下での活動
  • 長時間労働(24時間拘束)
  • 業務による精神的な強い負担

前述したとおり、出動内容が過酷だったり、高度な技術が必要だったりすれば、特殊勤務手当が支給されます。

しかしその手当も高額とは言えないため、心身における負担を考えると、年収が低いと感じてしまう人がいてもおかしくありません。

他の地方公務員よりも平均年収が低いから

令和3年に総務省が発表した「地方公務員給与実態調査」をもとに、全地方公共団体における地方公務員の「平均年収」を割り出し、下記にまとめました。

職種平均年収(賞与や諸手当を除く)
消防職3,612,996円
警察職3,897,648円
一般行政職3,792,480円
小・中・幼稚園教育職4,225,188円

一般行政職は役所に勤める職業のことです。

上記の表を見ると、他の地方公務員と比べ、消防士の年収は諸手当なしで15万円以上も低いことがわかります。

このように、同じ公務員なのに差を感じてしまうことが、消防士の年収が低いと感じられる理由の1つです。

ネットで得た年収情報より低い場合があるから

多くのサイトに書かれている消防士の年収は、基本的に「平均額」で書かれています。

本記事内の「消防士の平均月収・年収」でも紹介したとおり、ネットに載っている年収は、実際に若手がもらえる年収よりも圧倒的に高い額面です。

そのため、ネットで得た年収情報よりも、実際にもらえる年収が100万円以上低いという場合も。

初任給を確認したとき、事前に得た情報とのギャップに愕然とする人も出てくるでしょう。

元消防士が解説!消防士の年収が低いと感じなかった理由

この章では、僕が実際に東京消防庁の消防士として働いて、年収が低いと感じなかった理由を解説します。

SNSやネットの質問掲示板を見ると、消防士でもない人が「消防士の年収は低い!」と言っています。

しかし、筆者が実際に働いて「そんなことはない!」と思えた理由が、2つありました。

  • 休みが多く自分の時間が確保できたから
  • 東京消防庁の消防士だったから

実例も交えながら、実際のところ年収は低いのか高いのかをハッキリとさせていきましょう。

休みが多く自分の時間が確保できたから

消防士のひと月の勤務日数は11日前後で、他のどの職業と比べても勤務日数は少なめです。

緊急時に呼び出しを受ける可能性がある「非番」の日も休日と見なせば、1年の約2/3が休日になります。

「当番」の日(出勤日)は24時間拘束されるため、勤務時間だけを見ると他の職業とプライベートに使える時間は変わらないと思われがちですが、そんなことはありません。

「当番」でも仮眠時間はありますし、不規則なリズムの中での生活も徐々に慣れ、「非番」は丸1日休みのような感覚になってきます。

そのため、他の職業と比べて自分の時間がしっかりと取れる消防士は、年収が低いどころかむしろ多いとさえ感じました。

意外にもワークライフバランスが取れる職業です!

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東京消防庁の消防士だったから

東京消防庁の消防士は、他の自治体の消防士と比べて年収が高く設定されています。

なぜなら東京は人口が多く、それだけ火災や事故も多いため、必然的に業務量が増えるためです。

さきほどもご紹介したとおり、令和5年度における東京消防庁の初任給は、Ⅰ類採用者で約26万円、Ⅲ類採用者で約22万円。

令和元年に厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」における「学歴別にみた初任給」によると、大卒の初任給は平均で約21万円、高卒は平均で約17万円でした。

そう考えると、東京消防庁の初任給は比較的高く、平均年収も決して低いわけではないことがわかります。

ただし、地方の消防士は東京消防庁で働く消防士よりも年収が低めです!

消防士の年収の上げ方3選

東京消防庁で働く消防士の年収は、意外と低くないことがわかりました。

次に、より年収を上げて稼いでいくためには、一体どんなことをするべきなのかを解説していきます。

  • 大卒で消防士になる
  • 業務に関する資格を取得する
  • 上の階級を目指す

それぞれの年収の上げ方について、具体的な内容を見ていきましょう。

大卒で消防士になる

どの自治体で働く場合でも、高卒よりも大卒で消防士になった方が給与が高くなります。

ただし、急に大卒を目指すのは現実的ではありません。

一見すると「高卒の人は年収の面で圧倒的に不利じゃないか」と思われるかもしれませんが、実は消防士は勤続年数が重視される職業です。

高卒でもしっかりと勤続年数を伸ばすことで、大卒と比べて遜色ない年収になれる可能性はあります。

大卒ではないからと諦める必要はなく、頑張り次第で年収は伸ばしていけるでしょう!

業務に関する資格を取得する

消防・救助・救急業務に関する資格を取得すれば、携われる業務の幅が増え、年収は上がります。

年収が上がる資格の例を、以下にまとめました。

  • 救急救命士
  • 大型自動車免許
  • 危険物取扱者
  • 消防設備士
  • 船舶免許
  • 潜水士

中には難易度の高い資格もありますが、少しでも年収を上げたいという人は、ぜひ参考にしてみてください。

できることが増えると、やりがいも増します!

上の階級を目指す

消防士は階級制度があり、階級が上がれば年収も増えます。

消防士の階級を以下にまとめました。

  • 消防総監
  • 消防司監
  • 消防正監
  • 消防監
  • 消防司令長
  • 消防司令
  • 消防司令補
  • 消防士長
  • 消防副士長
  • 消防士

「消防士」がもっとも低い階級で、「消防総監」がもっとも高い階級です。

昇任試験が1年に1回あるため、それに合格することでキャリアアップできます。

一般職員が登れるキャリアには上限がありますが、それでも十分に年収は増えるでしょう。

まとめ:消防士の年収は決して低いわけでない!

ネットではよく「消防士の年収は低い」と載っていますが、勤める消防署によっても年収は変化するため、一概に低いとは言えません。

年収が高い、もしくは低いと感じるかどうかは人それぞれです。

確かにネットに載っている情報より、実際にもらえる年収は低いことが多いですが、休みが多いと考えると、むしろ年収が高いと感じることさえあります。

消防士になろうか迷っている人は、僕が運営する「東消塾」にて、消防士に関する悩みの無料相談も承っています!お気軽にご相談ください。

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