
救助隊は、災害現場で常に最前線で活動することが多い部隊であり、消防士を目指す多くの人の目標でもあります。
ただ、意外に救助隊になる方法や救助隊の種類を理解できている人は少ないです。
救助隊を目指すなら、救助隊の基礎から応用まで細かく理解しておいてください。
今回は、救助隊になる方法に加え、消防士との違いや救助隊の種類を解説します。
この記事を参考にすることで、救助隊になる方法を知れるだけでなく、救助隊という組織についても理解を深められるでしょう。
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救助隊とは?


救助隊とは、火災や交通事故、自然災害など、人命に関わる災害現場で救助活動を行う部隊のことです。
平成28年4月1日時点では、救助隊数が1,418隊、救助隊員数は24,473人となっています。
参考:救助隊の現況
また、救助隊の配置基準は「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令」により、以下のように定められています。
| 第三条 |
|---|
| 消防常備市町村の配置する救助隊の数(以下「救助隊の配置基準数」という。)は、当該市町村における消防署の数とする。 |
要約すると、各市町村が配置する救助隊の数は、その市町村にある消防署の数と同じ数だけ設けることが基準とされているということです。



ただ、これらはあくまで基準であり、必ずしもそうしなければいけないというわけではありません!
消防士と救助隊の違い


消防士と救助隊の違いは、以下の表を参考にしてください。
| 項目 | 消防士 | 救助隊 |
|---|---|---|
| 所属 | 各消防署に所属する職員 | 消防士の中から選抜された救助活動専門部隊 |
| 主な仕事 | 火災の消火、救急対応、防火指導、地域活動など幅広く担当 | 事故や災害現場での人命救助が中心 |
| 活動場所 | 火災現場や救急現場が中心 | 建物倒壊や交通事故、水難、地震など危険な現場 |
| なり方 | 消防官採用試験に合格して採用 | 消防士として経験を積み、推薦や選抜試験を経て配属 |
以上を参考にすると、救助隊も消防士の一員であり、部隊が異なるということがわかります。
そして、救助隊は誰でもなれるわけではありません。
消防本部によってなり方は異なりますが、消防士として経験を積んだ人の中から、推薦や選抜試験に合格して初めて救助隊員として活動できます。



消防士と救助隊は全く別物と思っている方もいるかもしれませんが、救助隊も消防士の一員なんです!
救助隊になるには?


救助隊になるには、以下3つの段階を踏む必要があります。
- 消防官採用試験に合格して消防士になる
- 消防士として経験・実績を積む
- 救助隊に推薦又は試験に合格する
消防官採用試験に合格しなければ、救助隊を目指す以前に消防士として活動することはできません。
たとえ、正しい手順を理解していなければ救助隊になれない恐れもあるため、どうしたら救助隊になれるのかを理解しておいてください。



一概には言えませんが、基本的にはこの流れで救助隊になるのが一般的です!
①消防官採用試験に合格して消防士になる
救助隊を目指す前に、各自治体が実施する「消防官採用試験」に合格して消防士になりましょう。
なぜなら、救助隊は消防組織の一部であり、消防士として採用されなければ救助隊にはなれないからです。
消防官採用試験では、以下のような試験が行われます。
- 筆記試験
- 論(作)文試験
- 適性検査
- 面接試験
- 身体検査
- 体力試験
消防官採用試験は、主に「高卒程度(Ⅲ類)」と「大卒程度(Ⅰ類)」に分かれているのが特徴です。



受験資格を満たしているかどうかを確認した上で申し込みしてください!
消防官採用試験の内容について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。


また、合格後は消防学校で約半年間の初任教育を受け、消火や救急、防災など消防業務の基礎を学びます。
消防学校を卒業すると、各消防署に配属されて消防士として働くことになります。


②消防士として経験・実績を積む
消防署に配属された後は、訓練や現場での活動を通して経験や実績を積みましょう。
救助隊は、現場経験や知識などを身に付けていないと活動できないため、いきなり救助隊に配属されることはありません。
まずは消防隊として、冷静な判断力や実践的な技術を身に付けておく必要があります。
また、救助隊を志望していると、消防学校や消防署を使った救助訓練に参加する機会もあります。
現役の救助隊員に指導してもらえることもあるため、積極的にアドバイスをもらうことで、救助隊員として必要な能力を養えるでしょう。



訓練や現場で数年間経験を積んで、ようやく救助隊員として必要な能力が養われるんです!
③救助隊に推薦又は試験に合格する
消防署で経験や実績を積んだら、推薦や選抜試験合格によって救助隊へ配属されます。
救助隊選抜の基準は自治体によって異なりますが、主に次のような要素が重視されていると考えられます。
- 優れた体力や運動能力
- 冷静な判断力と責任感
- 現場での実績
- 勤務態度
- 上司や同僚からの信頼
救助隊に配属されても、すぐに救助隊員として働けるわけではありません。
消防学校などの教育機関で「救助技術認定」や「救助隊員養成講習」などの専門研修を受ける必要があります。
これらの研修では、ロープ渡過や災害救助、車両事故対応など、救助活動に必要な高度な知識と技術を習得します。
研修を修了し、救助隊としての適性が認められたら正式に救助隊へ配属され、救助隊として働くことが可能です。



研修で適性が無いと判断されれば、救助隊になることはできないため注意してください!
救助隊の種類は大きく分けて4種類


救助隊の種類は、配置基準や出動する災害によって以下4種類に分けられます。
| 救助隊の種類 | 配置基準 | 出動する災害 |
|---|---|---|
| 救助隊 | 消防本部および消防署を置く消防常備市町村に設置 | 主に交通事故や水難事故、建物内の救出など、日常的に発生する比較的小規模な災害に出動 |
| 特別救助隊 | ・人口10万人以上の消防常備市町村に設置 ・人口10万人未満でも特に必要と認められる消防常備市町村に設置 | 建物崩壊や大規模交通事故、高所、地下空間などの特殊災害に対応 |
| 高度救助隊 | ・特別区や指定都市、中核市に設置 ・消防庁長官が指定する消防常備市町村に設置 | 都市部の大規模災害や多重災害(ビル倒壊や爆発、風水害による広域救助など)に対応 |
| 特別高度救助隊 | 東京消防庁および政令指定都市に設置 | 大規模地震や原子力災害、化学災害、航空機事故など、あらゆる災害に対応 |
参考:救助体制
参考:2.救助活動の実施体制 | 令和5年版 消防白書
参考:救助隊の種類別の編成、NBC関連装備及び配置状況等
都市部は複雑な災害が発生しやすいことから、より専門的な救助隊が設置されています。
中でも、特に大きな都市には「特別高度救助隊」が設置されているのも特徴です。
また、以下2つは救助隊の種類を知る上で、確認しておいた方が良い項目です。
- 全国の特別高度救助隊一覧
- 国際消防救助隊と呼ばれるものもあること
細かく理解する必要はありませんが、救助隊を目指すなら知識として頭に入れておいてください。



救助隊の配置基準や装備など、より詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください!


全国の特別高度救助隊一覧
特別高度救助隊は、政令指定都市や特別区が連合する消防本部に設置されており、全国で24部隊あります。
設置されている消防本部名と名称に関しては、以下表を参考にしてください。
| 消防本部名 | 部隊名 | 通称 |
|---|---|---|
| 札幌市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーレスキューサッポロ |
| 仙台市消防局 | 特別機動救助隊 | スーパーレスキュー仙台 |
| つくば市消防本部 | 特別高度救助隊 | ハイパーレスキューOWL |
| 宇都宮市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーレスキューUTSUNOMIYA |
| 千葉市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーレスキュー千葉 |
| さいたま市消防局 | 特別高度救助隊 | さいたまブレイブハート |
| 川口市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパー・アドバンスド・レスキュー川口 |
| 東京消防庁 | 消防救助機動部隊 | ハイパーレスキュー |
| 川崎市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーレスキュー |
| 横浜市消防局 | 特別高度救助部隊 | スーパーレンジャー |
| 相模原市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーレスキューはやぶさ |
| 新潟市消防局 | 特別高度救助隊 | SART(サート:Special Advanced Rescue Team) |
| 静岡市消防局 | 特別高度救助隊 | 静岡スーパーレスキュー |
| 浜松市消防局 | 特別高度救助隊 | 浜松ハイパーレスキュー |
| 名古屋市消防局 | 特別消防隊 | ハイパーレスキューNAGOYA |
| 京都市消防局 | 本部指揮救助隊 | スーパーコマンドレスキューチーム |
| 大阪市消防局 | 本部特別高度救助隊 | ASR(Advanced Super Rescue) |
| 堺市消防局 | 特別高度救助隊 | フェニックスレスキュー |
| 神戸市消防局 | 特別高度救助隊 | スーパーイーグルこうべ |
| 岡山市消防局 | 特別高度救助隊 | ハイパーレスキューおかやま |
| 広島市消防局 | 特別高度救助隊 | ハイパーレスキューひろしま |
| 北九州市消防局 | 特別高度救助隊 | ハイパーレスキュー・北九州 |
| 福岡市消防局 | 機動救助隊 | ハイパーレスキュー FUKUOKA |
| 熊本市消防局 | 特別高度救助小隊 | なし |



特別高度救助隊は、救助隊の中でもトップクラスの技術と経験を持った方しか入れない特別な部隊です!
国際消防救助隊と呼ばれるものもある


一般的な救助隊とは別に、海外で活動するための「国際消防救助隊(IRT:International Rescue Team)」と呼ばれる救助隊も存在します。
これは、特別高度救助隊など国内の精鋭救助隊から選抜された隊員で構成され、国外での救助活動を専門に行う部隊のことです。
国際消防救助隊の位置付けとしては、以下を参考にしてください。


現在は、全国77消防本部599名の隊員が登録されており、過去に22回海外派遣が行われています。
参考:国際緊急援助 | 総務省消防庁



国際消防救助隊を目指す方は、救助隊としてのキャリアが必要となります!
救助隊になる前に知っておくべきこと3選


救助隊になる前に知っておくべきこととしては、以下の3つが挙げられます。
- 救助隊のやりがい
- 救助隊に向いている人の特徴
- 救助隊に求められる能力
以上のことを知らないと、救助隊になれなかったり、なってみたものの「思ってたのと違った」と感じたりする恐れがあります。
救助隊について正しい理解を深め、消防士として望んだキャリアを歩むためにも、必ず確認しておいてください。



「憧れ」だけで救助隊を目指すのではなく、現実を理解しておくことが大切です!
救助隊のやりがい
救助隊の一番のやりがいは、自分の行動によって人の命を救えることです。
火災現場や水難事故、地震などの災害では最前線で人命救助にあたるため、「自分の手で人の命を救えた」と実感しやすいです。
また、救出後に被災者や家族から「ありがとう」と感謝の言葉をかけられる瞬間は、何ものにも代えがたい達成感があります。
以上のことからも、救助隊で働くことで社会の役に立っている実感や人命を守る誇りを強く感じられることが、一番のやりがいと言えるでしょう。



救助隊は最後の砦と言われるほど、重要な任務を任されているんです!
救助隊に向いている人の特徴
救助隊に向いている人の特徴は、常に冷静に判断できる力と責任感を持っている人です。
救助現場では、1つのミスや遅れが重大な事故に繋がります。
どんな状況でも、冷静で的確な判断ができる人でなければ救助隊は務まりません。
また、救助隊としての責任感も冷静さと同じくらい重要です。
救助隊は最後の砦だという認識を持ち、責任感を持って仕事ができなければ、きつい訓練についていけなかったり現場で要救助者のために動けなかったりする恐れがあります。
以上のことからも、常に冷静に判断できる力と責任感を持っている人が救助隊に向いていると言えるでしょう。



他にも、体力や協調性などは救助隊以前に消防士として必ず必要です!
救助隊に求められる能力
救助隊に求められる能力としては、以下のようなものが挙げられます。
- 体力
- 判断力
- 協調性
- 専門的な知識と経験
救助隊には、単純な体力だけでなく判断力や協調性、専門的な知識と経験など「総合力」が求められます。
そのため、訓練で体力や技術を磨くだけでなく、仲間との信頼関係を築き、どんな状況でも冷静に対応できる判断力を養うことが重要です。
また、救助活動は1人では成り立たないため、チームの連携力やコミュニケーション力も求められます。
ただ、最初から身に付けている必要はなく、消防士として働く上で徐々に身に付けていけば、救助隊として働ける可能性が高いです。



救助隊に入るには何が必要かを考えながら、日々の訓練や生活を送ることが大切です!
救助隊に関するよくある質問


救助隊に関するよくある質問を以下にまとめたので、気になる方は参考にしてください。
救助隊を目指すなら消防士になるのが必須


記事の前半で解説した通り、救助隊を目指すなら消防士になるのが必須です。
消防士になるためには「消防官採用試験」に合格する必要がありますが、消防官採用試験の合格率は約10%〜30%程度と言われています。
そこで、より確実に合格率を高めたい方は「東消塾」を利用してください。
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