東京消防庁の初任給は30万円以上？平均年収や手取り・ボーナス額、他の消防本部との比較を東京消防庁OBが解説

東京消防庁は、日本で最も大きい消防本部であり、職員数も18,773人と非常に多いです。「最も大きい消防本部だから年収や初任給、ボーナス額も一番高いだろう」と考えている方も多いのではないでしょうか？

また、東京消防庁は「初任給30万円」を超えているのでしょうか？

今回は、東京消防庁の初任給や手取り額、他の消防本部との比較などを解説します。この記事を参考にすることで東京消防庁の初任給についてだけでなく、他の消防本部との差についても理解できるでしょう。

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東京消防庁の初任給は30万円を超える？

東京消防庁の初任給は、以下の表を参考にしてください。

	大卒	高卒
初任給	約302,100円	約264,700円

高卒の初任給は約264,700円と30万円には届いていませんが、大卒の初任給は約302,100円となっています。ただし、これらは額面上の金額であり、実際には上記に加えて地域手当や扶養手当、通勤手当などが加算されます。

そのため、高卒でも月に30万円以上を受け取れることも多いです。他の地方消防では、大卒でも月に30万円を超えないことも多いため「東京消防庁の初任給=30万円超え」というのは、捉え方として間違っているとは言えないでしょう。

初任給から考える手取り額はいくら？

給与は、額面の金額を全て受け取れるわけではありません。額面から、社会保険料や税金などが引かれた金額が手取り額となります。

一般的に、月額の給与から手取り額を計算する場合「額面の金額×0.75〜0.85」と言われています。

例えば、東京消防庁大卒枠の初任給は約302,100円です。一般的な計算方法で計算した場合、226,575円から256,785程度になると考えられるでしょう。

また、大卒より初任給が少ない高卒では、さらに少ない手取りとなることも考えられます。そのため、初任給が30万円を超えているからと言って、毎月30万円受け取れるわけではないことを理解しておきましょう。

令和7年度から初任給が3万円アップしている

東京消防庁の大卒の初任給は約302,100円と30万円を超えており、高卒でも約264,700円と決して低い金額ではありません。これは、令和7年度からそれぞれの初任給が昨年よりも3万円以上アップしていることが理由です。

参考：消消防官Ⅰ類(教養試験方式)｜採用情報

初任給アップの背景には、物価の上昇や人材確保の難化が影響していると考えられます。優秀な人材を確保するために給与の高さは魅力の1つです。特に、東京消防庁のような大都市圏の消防本部では生活コストも高いため、地方よりも高い給与が求められます。

また、初任給がアップしたことで将来的な昇給にも影響します。昇給によって従来より給与が増加すれば、今までよりも生活に余裕を持たせることができるでしょう。

東京消防庁で初任給はいつ受け取れる？

東京消防庁の初任給を受け取れるのは、採用された年の4月15日となります。東京都職員の給与支払日は「職員の給与に関する条例施行規則」に、以下のように定められています。

(給料の支給方法等)
第二条　条例第七条第二項に規定する給料の支給日は、十五日とする。ただし、十五日が日曜日、土曜日又は休日(国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に定める休日をいう。以下この条において同じ。)に当たるときは、十五日に最も近い日曜日、土曜日又は休日でない日(その日が二あるときは、十五日より前の日)を支給日とする。

採用された年の4月15日が最初の支給日となるということは、消防学校の入校中に初任給を受け取ることになります。そのため、出動手当や特殊勤務手当が付くことはなく、額面通りの初任給となります。

ただ、基本的に消防学校内での生活となるため、普段よりも生活費が安かったり貯金がしやすいのもメリットです。消防学校卒業後は、消防士として現場にも出動するため、1年目から安定して30万円以上を受け取れる可能性もあることを理解しておきましょう。

消防学校在学中の給与や金銭面について知りたい方は、以下の表を参考にしてください。

消防士全体の平均年収と内訳

消防士の全体の平均年収は、約600万円前後と言われています。「高くない？」と思った方もいるかもしれませんが、これは全消防士の平均となるため、階級が高い人も含まれているからです。

そして、東京消防庁大卒の初任給は約302,100円であり、年間で考えると「3,625,200円」となります。ただ、年収は基本給に12ヶ月をかければ良いという単純なものではありません。

実際は、基本給に加えて以下のような項目が加算されます。

基本給に加えて以上が加算されるため、数百万円が加算されます。退職金は毎年支給されるものではありませんが、生涯年収を考える上でも大切なものなので、大体どの程度もらえるのかも理解しておきましょう。

消防士の年収について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

各種手当

消防士は通勤手当や住居手当の他にも、災害出動や特殊な現場への出動による手当も受け取れます。消防士が受け取れる手当の種類は、以下の通りです。

参考：東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例施行規則

各種手当は、出動回数や出動内容によって金額が変動します。ただ、合計すると年収の約2〜3割を占めることも珍しくありません。そのため、単純に「基本給×12か月」で年収を計算するのではなく、各種手当を考えた上で考えるのがおすすめです。

ボーナス

東京消防庁のボーナスは、令和6年度の6月と12月共に2.325ヶ月分ずつとなっています。合計すると年間で4.65ヶ月分となり、大卒と高卒の初任給で考えると以下の表となります。

	大卒	高卒
初任給	約1,404,765円	約1,230,855円

ボーナスにも税金がかかるため満額受け取れるわけではありませんが、約100万円程度受け取れます。年収を計算する際には、資格手当と合わせてボーナスも加算されることを忘れずに計算することが大切です。

退職金

退職金は、退職する際に支払われるもののため、毎年受け取れるわけではありません。しかし、消防士は地方公務員のため手厚い金額を受け取れます。東京都職員の退職手当支給率は、以下の表を参考にしてください。

勤続年数	全退職事由共通 支給率（月数）	勤続年数	全退職事由共通 支給率（月数）
1	0.9	21	24.5
2	1.8	22	26.0
3	2.7	23	27.5
4	3.6	24	29.0
5	4.5	25	30.5
6	5.4	26	32.0
7	6.3	27	33.5
8	7.2	28	35.0
9	8.1	29	36.5
10	9.0	30	38.0
11	10.2	31	39.4
12	11.4	32	40.8
13	12.6	33	42.2
14	13.8	34	42.6
15	15.0	35	43.0
16	16.6	36	43.0
17	18.2	37	43.0
18	19.8	38	43.0
19	21.4	39	43.0
20	23.0	40	43.0

以上の表を参考にすると、最大で43.0ヶ月分の退職手当を受け取れます。退職手当は「基本給×支給率」で決まりますが、退職する頃には基本給も大幅に増加しています。

仮に、月40万円の基本給で40年間勤続して退職した場合、約1,720万円の退職金を受け取れる可能性が高いです。同じ勤続年数でも、基本給によって退職金額は異なるため、確定でこれだけの金額を受け取れるというわけではないことを理解しておきましょう。

【比較表】東京消防庁と他の消防本部との初任給の違い

東京消防庁の初任給は、大卒で30万円を超えており、高卒でも約26万円となっています。この額が高いかどうかは、他の消防本部の初任給と比較するのがおすすめです。

参考として、全国の政令指定都市の初任給を以下の表にまとめたので参考にしてください。

実施年度	大卒程度	専門・短大卒程度	高卒程度
札幌市消防局	196,200円（行政）	—	166,200円（行政）
仙台市消防局	約245,700円	—	約210,800円
さいたま市消防局	266,915円	203,205円	189,635円
千葉市消防局	255,185円	—	216,775円
横浜市消防局	223,184円	—	198,244円
川崎市消防局	218,624円	—	175,168円
相模原市消防局	238,112円	—	197,120円
新潟市消防局	261,208円	—	228,557円
静岡市消防局	235,935円	221,918円	205,226円
浜松市消防局	約239,000円	—	約206,000円
名古屋市消防局	257,715円	—	224,365円
京都市消防局	252,010円	—	214,940円
大阪市消防局	256,012円	—	223,880円
堺市消防局	250,000円程度	—	194,000円程度
神戸市消防局	約222,000円	約200,000円	約194,000円
岡山市消防局	約217,200円	約191,100円	約179,000円
広島市消防局	約252,800円（1種）	約239,400円（2種）	約223,800円（2種）
北九州市消防局	約203,000円	—	約186,000円
福岡市消防局	248,380円	—	222,420円
熊本市消防局	233,700円	—	207,000円

上記の初任給額は、各消防本部や市の公式サイトに記載されている情報です。しかし、中には地域手当込みで初任給を記載しているところもあり、ばらつきが出ています。さらに、年によって初任給が増減する可能性も高いため、気になる方は事前に公式サイトの情報を確認しておきましょう。

また、政令指定都市の中には消防区分の初任給を明確に記載していない市も多いです。それらの市は、行政職・事務職の初任給を記載していますが、一般的には消防区分の方が数万円高いことも理解しておきましょう。

東京消防庁で働きたいなら「東消塾」で対策しよう

東京消防庁の初任給は、全国的に見ても非常に高いです。しかし、東京消防庁に入るためには難易度の高い試験に合格しなければなりません。東京消防庁採用試験の倍率は、受験する年や区分によって10倍を超えることもあるため、効果的な対策を行うことが大切です。

東京消防庁採用試験対策のためには「東消塾」がおすすめです。東消塾は、東京消防庁OBの講師によって採用試験対策を行い、消防官採用試験合格を目指す予備校です。筆記試験対策だけでなく、小論文試験や面接試験対策も行ってくれるため、バランス良く対策を進められます。

また、東消塾を利用していない方でも、LINE公式アカウントを追加することで採用試験対策の限定特典を受け取れるためおすすめです。

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