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救急救命士は、消防士になる前でもなった後でも取れる資格。
そのため、将来消防士になりたい人にとっては、どのタイミングで救急救命士を取るべきなのか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回の記事では、救急救命士を取るタイミングについてや、資格を取ることによるメリット・デメリットについて解説していきます。
少しでも悩みを減らして気持ちよく消防士を目指すためにも、ぜひ最後までご覧ください。
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消防士と救急救命士の違い


消防士と救急救命士の違いは、主な仕事内容です。消防士は、火災現場での消火活動をはじめ、救助活動や災害対応など幅広い任務を担っています。
一方、救急救命士は、救急現場において医師の指示がなくても一定の医療行為を行える「国家資格」を持った専門職です。また、救急救命士の多くは消防士として消防署に勤務するのが一般的です。
消防本部によっては、救急救命士も消防隊や救助隊の一員として活動することがあります。ただ、基本的には救急車に乗車し、傷病者に対しての医療行為を行います。救急救命士は「国家資格」であり、医師の指示が無くても一定の医療行為を行えるのが特徴です。



救急救命士も救急隊員として活動します!
消防士の仕事内容


救急救命士について理解する前に、消防士の仕事内容も理解しておくことが大切です。消防士の大まかな仕事内容は、以下の3つです。
- 消火活動
- 救助活動
- 救急活動
他にも、予防業務や査察業務など机上業務を中心とする業務もあります。ただ、今回の記事では災害対応における仕事内容についてのみ紹介します。
より細かい業務内容について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。


消火活動
消防士の代表的な仕事内容として、消火活動が挙げられます。消火活動とは、火災発生時に消防車で現場に駆けつけ、火を消し止めることで人命や財産を守る仕事のことです。
消防隊は5名の消防士で構成されており、以下の内訳となっています。
役職 | 階級例 | 主な役割 |
---|---|---|
隊長 | 消防司令補 | 部隊全体の指揮・現場の状況判断・無線連絡 |
放水長 | 消防士長 | 車両の運転およびポンプの操作 |
機関員 | 消防副士長 | ホースを持って消火活動を行う先端部隊 |
隊員 | 消防士 | ホース延長・補助、資機材の運搬・バックアップ |
隊員 | 消防士 | ホース延長・補助、資機材の運搬・バックアップ |
上記の表は一般的な例であり、消防本部や規模によって若干異なる部分はあります。
ただ、それぞれの役割に大きな違いはなく、他の部隊とも連携して迅速な消火活動を行うのが基本です。



傷病者の状態によっては、消防隊員が救急車に同乗することもあります!
救助活動
救助活動とは、火災や交通事故、水難事故、山岳事故などの災害現場で、救助器具や専門知識を用いて、人命を救助する活動のことです。
救助隊は5名の救助隊員で構成されており、以下の内訳となっています。
役職 | 階級例 | 主な役割 |
---|---|---|
隊長 | 消防司令補 | 救助現場での全体指揮・判断・安全管理 |
放水長 | 消防士長 | 火災が併発している現場でのホース展張・放水準備 |
機関員 | 消防士長 | 救助工作車の運転・ウインチやクレーンなどの重機操作 |
隊員 | 消防士 | 実際の救助作業を行う(倒壊家屋・交通事故・水難事故など) |
隊員 | 消防士 | 救助隊員の補助、器材搬送、セーフティラインの設置など |
救助隊は、消防本部の規模によって以下4つの種類に分けられます。
- 救助隊
- 特別救助隊
- 高度救助隊
- 特別高度救助隊
救助隊になれば、災害現場の最前線で人命救助を行えます。救助隊員の中には、救急救命士資格を持っている方もおり、人命救助のスペシャリストを目指すことも可能です。
救助隊の種類について細かく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。





救急救命士資格を持っていても、絶対に救急隊員として活動しなければいけないわけではありません!
救急活動
救急活動とは、傷病者に対して必要な応急処置を行いながら、適切な医療機関へ搬送する活動のことです。
救急隊は3名の救急隊員で構成されており、以下の内訳となっています。
役職 | 階級例 | 主な役割 |
---|---|---|
隊長 | 消防司令補 | 隊の指揮・現場判断・医師との連携・報告書作成・病院選定など |
機関員 | 消防士長 | 救急車の運転・バイタルチェック補助など |
隊員 | 消防士 | バイタル確認・処置実施(AED、吸引、酸素投与など) |
また、総務省消防庁が定める「救急業務実施基準」において、救急救命士の資格を有する隊員または准救急隊員を1名以上配置するよう努めることが規定されています。
そのため、救急救命士資格を持っていなくても救急隊員として活動することは可能です。消防本部によっては、消防隊や救助隊と兼任で救急隊員として働く可能性もあることを理解しておきましょう。



救急隊員だからといって、必ず救急救命士資格を持っているわけではありません!
救急救命士国家試験とは?


救急救命士国家試験とは、国家資格である「救急救命士」資格を取得するための国家試験のことです。救急救命士国家試験は、毎年1回(3月上旬)に実施されており、厚生労働省が監督しています。
救急救命士国家試験の概要は、以下表を参考にしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
試験名称 | 救急救命士国家試験 |
試験日 | 毎年3月上旬 |
試験地 | 北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県 |
受験資格 | 以下のいずれかに該当する者 ①文部科学大臣指定の学校または都道府県知事指定の救急救命士養成所で2年以上の課程を修了した者 ②大学等で指定科目を修め、指定の養成所で1年以上の課程を修了した者 ③消防機関等で5年以上(または2,000時間以上)の救急業務に従事し、指定の養成所で6か月以上の課程を修了した者 ④外国の救急救命士養成機関を卒業し、厚生労働大臣の認定を受けた者 ⑤看護師等で、厚生労働大臣の認定を受けた者 |
試験科目 | 基礎医学(社会保障・社会福祉、患者搬送を含む)、臨床救急医学総論、臨床救急医学各論(Ⅰ~Ⅲ) |
試験形式 | 筆記試験(マークシート方式) |
問題構成 | A・B(一般)問題:150問(1問1点) C・D(症例)問題:50問(1問2.5点) |
合格基準 | 必修問題:55点中44点以上 通常問題:220点中132点以上 ※両方の基準を満たす必要あり |
受験者数 | 3,436人(第48回) |
合格者数 | 3,242人(第48回) |
合格率 | 94.4%(第48回) |
受験料 | 30,300円 |
合格発表方法 | 厚生労働省および一般財団法人日本救急医療財団のホームページにて受験地および受験番号を掲載 |
参考:第48回救急救命士国家試験の合格発表
参考:第48回救急救命士国家試験の施行|厚生労働省
救急救命士国家試験は、救急医療の現場で高度な処置を行うための知識と技能を評価する重要な試験です。全員が受験できる試験でもないため、受験前に受験資格を満たしているかどうかも確認しておくことが大切です。



救急救命士国家試験の合格率が高いのは、受験者のほとんどが対策しているからであり、決して簡単なわけではありません!
そもそも救急救命士とは何か?


救急救命士は、傷病者が病院に着く前の初期対応をするために必要な国家資格です。
消防士と救急救命士は切っても切り離せない関係で、実際に救急救命士のほとんどが消防士でもあります。
そもそも救急救命士について漠然としか知らない方は、まずはどんな資格なのかを理解しておきましょう。
救急救命士についてより深く理解することで、将来のプランがより明確になるはずです。



「救命救急士」と名前を間違える方が多いのですが、正しい名称は「救急救命士」ですので注意しましょう!
救急救命士の仕事内容
救急救命士ができる業務の範囲は、一般人でもできる心肺蘇生などの救急処置はもちろん、医師の包括的な指示によって救急救命士自身が判断をして施す処置・医師からの具体的な指示のもと医療行為を行う「特定行為」など、広範囲です。
具体的な内容に関しては、以下の表を参考にしてください。
医師の 具体的指示 (特定行為) | ・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液(※) ・食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク及び気管内チューブによる気道確保(※) ・エピネフリンを用いた薬剤の投与(※) ・乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保及び輸液 ・低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与 ※は心肺機能停止状態の患者に対してのみ行うもの |
---|---|
医師の 包括的な指示 | ・精神科領域の処置 ・小児科領域の処置 ・産婦人科領域の処置 ・自動体外式除細動器による除細動* ・自己注射が可能なエピネフリン製剤によるエピネフリン投与 ・血糖測定器を用いた血糖測定 ・聴診器の使用による心音・呼吸音の聴取 ・血圧計の使用による血圧の測定 ・心電計の使用による心拍動の観察及び心電図伝送 ・鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去 ・経鼻エアウェイによる気道確保 ・パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定 ・ショックパンツの使用による血圧の保持及び下肢の固定 ・自動式心マッサージ器の使用による体外式胸骨圧迫心マッサージの施行 ・特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持 ・口腔内の吸引 ・経口エアウェイによる気道確保 ・バッグマスクによる人工呼吸 ・酸素吸入器による酸素投与 ・気管内チューブを通じた気管吸引 ・用手法による気道確保 ・胸骨圧迫 ・呼気吹き込み法による人工呼吸 ・圧迫止血 ・骨折の固定 ・ハイムリック法及び背部叩打法による異物の除去 ・体温・脈拍・呼吸数・意識状態・顔色の観察 ・必要な体位の維持、安静の維持、保温 |



上記に挙げた業務範囲は、医師の指示なく医療行為はできません。
指示があったとしても、あくまで医療行為の補助に限られます。
救急救命士を持たない救急隊員と有資格者の違いとは
救急車に乗る救急隊員の中には、実は救急救命士の資格を持っていない消防士もいます。
救急救命士の資格がない救急隊員は、救急隊で活動することはあるものの、医師による指導や助言のもと、最低限の処置しかできません。
無資格者は、基本的には消防隊・救助隊・はしご隊などでの活動がメインです。
救急救命士を持っているかどうかで業務範囲が異なるため、救急隊の前線で活躍したいと思っている方は、救急救命士の資格を取っておきましょう。



逆に、救急隊員になりたいという目標がない方は、無理に救急救命士の資格を取らなくても大丈夫です!
救急救命士の給料について
救急救命士の平均給与は公的なデータで発表されていませんが、無資格の消防士と比べても大幅な給与変化はありません。(東京消防庁の初任給は約22〜26万円)
ただし、救急救命士の資格を持つ消防士は救急隊員として出動回数が増えるため、その分の「救急手当」がもらえます。



「東京消防庁職員の特殊勤務手当に関する条例施行規則」をもとに、救急隊員がもらえる「救急手当」についてまとめました。
救急手当をもらえる条件と金額(東京消防庁の場合) | ||
---|---|---|
① | 傷病者の搬送・救急処置・救急業務に従事した救急隊員 | 1時間未満:270円/回 1時間以上:380円/回 ※②の受給者を除く |
② | 救急隊員のうち、救急救命処置等の活動に従事した救急救命士 | 1時間未満:360円/回 1時間以上:500円/回 |
③ | 傷病者の搬送・救急処置・救急業務活動に従事した救急隊の機関員 救急隊員以外で当該活動に従事した職員 心肺機能停止状態の傷病者の搬送・救急処置・救急業務等の活動に従事した救急隊員の機関員 心肺機能停止状態の傷病者に対する救急救命処置等の活動に従事した、救急救命士の機関員 | 1時間未満:200円/回 1時間以上:280円/回 1時間未満:270円/回 1時間以上:380円/回 1時間未満:360円/回 1時間以上:500円/回 ※上記3つの条件は併給しない |
④ | 救急車内の消毒等を必要とする救護に 従事した職員 | 210円/回 |
上記の表を見ると、救急救命士は無資格の救急隊員と比べ、もらえる手当の金額が多いことがわかります。
仮に1時間以上の出動が100回/月あった場合は「100件×500円=5万円」となるため、無資格の消防士と比べ、必然的に年収が高くなるでしょう。



東京消防庁の調査によると、2021年の東京都内における救急車の出動回数は、なんと42秒に1回の頻度でした。
救急救命士国家試験の合格率について
全国の専門学校・大学で組織される「全国救急救命士教育施設協議会(JESA)」が発表するデータをもとに、過去5年分の救急救命士国家試験合格率をまとめました。
- 2021年:86.7%
- 2020年:87.0%
- 2019年:91.9%
- 2018年:85.0%
- 2017年:85.0%
上記のデータを見てわかるとおり、合格率は非常に高いため、しっかりと学習すればそこまで難易度は高くありません。
救急救命士誕生の背景
救急救命士は、搬送中の医療処置が十分に行えず、救えるはずの命が失われる事例が問題視されたことから誕生しました。1980年代の日本では、救急隊員による処置には限界があり、海外のように現場で医療行為が行える制度の必要性が高まっていました。
こうした課題を受けて、1991年に「救急救命士法」が施行され、日本でも救急救命士制度が正式にスタートしました。救急救命士制度により、一定の訓練と国家資格を取得した者が、医師の具体的な指示のもとで気管挿管や薬剤投与といった高度な救命処置を行うことが可能となりました。
救急救命士の誕生は、日本の救急医療体制に大きな変革をもたらし、今では災害現場や日常の救急出動において欠かせない存在となっています。



救急救命士は海外の「パラメディック制度」を参考に作成されました!
救急救命士の1日のスケジュール


救急救命士の1日のスケジュールは、以下の表を参考にしてください。
上記はあくまで一例であり、出動数によってもスケジュールは異なります。特に、都市部では1日で10件以上出動することも珍しくありません。夜間でも要請があれば出動しなければいけないため、身体に負担のかかりやすい1日となることが多いです。
出動要請が無い時は、症例の振り返りやシミュレーション訓練などを行い、個人や部隊のスキルアップに努めています。



消防本部によってもスケジュール感が異なるかもしれないので、気になる方は各消防本部へ確認してみましょう!
救急救命士になる方法


救急救命士の資格を取るためのルートは2種類あります。
実際に2種類のルートがどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
どちらのルートがおすすめなのか迷ってしまう方も多いはずですので、最後におすすめのルートについても解説します。



どちらのルートにするにせよ、試験に合格しなければ救急救命士にはなれないことを覚えておきましょう!
方法①:大学・専門学校に通って試験を受ける
救急救命士になる方法の1つめは、養成課程が設けられた大学(もしくは短大)や専門学校を卒業し、国家試験を受ける方法です。
短大・専門学校なら最速で2年後、大学なら4年間じっくりと学んでから試験が受けられるため、自分に合った進路を決めましょう。
救急救命士の資格取得後は、例年約7割弱の人が消防士になります。



消防士の採用試験の合格率は、救急救命士の国家試験と比べて低めです。そのため、救急救命士の資格を持っていても採用試験に落ちてしまう人もいます。
方法②:消防士として所定のキャリアを積み試験を受ける
救急救命士になる方法の2つめは、先に消防士になってから免許を取得する方法です。
消防士としての勤続年数が5年以上、もしくは救急業務に携わった時間が合計で2,000時間以上あれば、必要な講習を養成所で受けることで試験の受験資格が得られます。
約6ヶ月間ある講習の学費は一切かかりませんが、短い期間で国家試験合格レベルまで到達しなければなりません。



場合によっては養成所に行く前に選抜試験が行われることもあり、その場合は事前勉強が必要です。
どちらのルートで資格を取るのがおすすめなのか
正直なところ、どちらのルートも一長一短があるため、どちらにするべきだという明確な答えは提示できません。
その代わり、それぞれのルートごとのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
大学・専門で取る | 最短2年で試験を受けられる 大学の場合は学歴が得られる 時間をかけて勉強できるため合格率が高い | 学費がかかる 資格取得後でも消防士試験に落ちてしまうと働き口がない(病院勤務を除く) 救急隊以外の部隊に配属されない |
消防士から取る | 実際にどんな業務なのかを見てから取るかどうか決められる 学費がかからない | 受験資格を得るまでに時間がかかる 仕事をしながら短期間で合格ラインに乗る必要がある 必ず養成所に入校できるわけではない |
決め手となるポイントとして、初めから目指している部隊は救急隊一択で、救急隊として専門的に働きたい人は「大学・専門で取るルート」、消防隊など他の部隊も経験していろんなスキルを身に着けたい人は「消防士になってから取るルート」を選ぶと良いでしょう。



個人的には、資格を取るまでに少し時間がかかったとしても「消防士から取るルート」のほうが、メリットの比重が大きいと感じます!
そもそも消防士にはどうやったらなれる?


消防士の救急救命士として働くためには、救急救命士資格の有無に関わらず消防士にならなければいけません。消防士になるためには、以下2つをクリアする必要があります。
- 消防官採用試験に合格する
- 消防学校で半年間訓練を受ける
消防官採用試験の難易度は高く、独学での合格は非常に難しいです。また、合格後に消防学校に入学しなければいけません。それぞれを乗り切るためにも、事前に内容と対策を理解しておきましょう。



消防官採用試験の倍率は10倍を超えることもあるほど難しいです!
消防士になる方法について詳しく知りたい方は、以下の表を参考にしてください。


①消防官採用試験に合格する
消防士になるためには、各自治体が実施する「消防官採用試験」に合格する必要があります。試験は主に教養試験、体力試験、面接などで構成されており、筆記だけでなく体力や人物評価も実施されます。
自治体によってはSPIや小論文、集団討論などが課されることもあり、事前の情報収集が欠かせません。
また、政令指定都市や東京消防庁などの大規模な自治体では倍率が高く、早期からの対策や継続的な準備が求められます。消防官採用試験合格後は消防士として採用され、次のステップである消防学校へ進みます。



様々な試験が行われるため、1人で対策するのには限界があります!
消防官採用試験について詳しく知りたい方は、以下の表を参考にしてください。








②消防学校で半年間訓練を受ける
消防官採用試験合格後は、全員が半年間消防学校に入校します。消防学校とは、消防職員が現場で活躍するために必要な知識や技術、体力を教育・訓練する施設のことです。
消防学校では、座学や実技訓練が行われます。座学では、消防法や火災のメカニズムなどを学び、実技訓練では放水・消火技術、ロープやはしごの使い方などを学ぶのが特徴です。また、規律訓練や礼式(敬礼・整列など)も重視され、公務員としての自覚と礼儀も徹底して指導されます。
以上のような訓練を修了した後は、各消防署へ配属されて本格的な現場業務に就くことになります。



消防学校は厳しいですが、一生の仲間に出会えることもあります!
消防学校について詳しく知りたい方は、以下の表を参考にしてください。


救急救命士における消防士以外の就職先


救急救命士の多くは、消防署に勤務しています。しかし、消防士以外にも救急救命士の資格を活かせる就職先は存在します。特に近年では、医療や福祉分野でもその専門知識と技術が評価され、活躍の場が広がっています。
代表的な就職先としては、民間の病院やクリニックの救急外来などです。ここでは患者搬送の補助や院内での救命処置のサポートなどを担います。
また、民間の救急搬送会社である「民間救急」では、主に医療的配慮が必要な患者の移送やイベント救護などを行うのが特徴です。



消防士以外にも需要があることを理解しておくことが大切です!
消防士が救急救命士の資格を取るメリット・デメリット


先ほどは「どのルートで取るかによってのメリット・デメリット」を紹介しましたが、こちらでは「資格を取ることによって生じるメリット・デメリット」についてご紹介していきます。
まだ救急救命士の資格を取るかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
消防士が救急救命士の資格を取るメリット
- 救急隊の第一線で活躍できる
- 無資格の救急隊員よりも給料が増える
- 病院への転職が可能
救急救命士は専門的な知識が必要な資格というだけあり、持っているとそれ相応の技術の提供が可能です。
そのため現場では第一線で活躍できますし、何より救急活動時に支給される手当が高額になるため、年収も増えます。
さらに、救急救命士の資格保有者は働き口の候補として病院があるため、もしも消防士としての環境に疲れてしまった場合は、転職(勤務先を変更)するためのセーフティーとしても役立つでしょう。



救急救命士としての仕事が本当に好きなら、素晴らしいメリットばかりです!
消防士が救急救命士の資格を取るデメリット
- 資格を取るまでに時間や労力が必要
- 仕事での負担が増える
救急救命士の資格を取るには、専門課程のある学校に通う場合はその時間や学費を払う資金力が必要ですし、消防士から取得を目指す場合でも膨大な実務経験が必要です。
いくら合格率が高いとはいえ立派な国家資格ですので、簡単に取れるわけではありません。
さらに資格取得後は、資格未所持の消防士に比べ、救急業務による負担が大きくなります。
これは、消防署内での需要が高まるのに加え、携わる業務範囲も広くなるためです。



救急車内は、救急救命士が必ず1人以上乗車することになっています!42秒に1回の頻度で出動要請がある都内なら、激務になること間違いなし…。
救急救命士に向いている人の特徴


救急救命士は誰でもなれますが、誰にでも務まる仕事ではありません。
「救急隊員として実際に働いてみると自分に合ってなかった」とならないためにも、救急救命士に向いている人の特徴をまとめました。
- 冷静な判断力と迅速な行動力がある
- ツラい現場に負けない体力・精神力がある
- 協調性やコミュニケーション能力がある
上記3つの能力は、実は消防士に向いている人の特徴であったり、消防士として必要な能力であったりします。
現場であたふたするような人ではそもそも人の命は守れませんし、強靭な体力・精神力がなければ1日に何度も出動したり、重篤な患者に対して救急処置を施したりできません。
消防士はどんなときもチームで行動する必要があるため、円滑に業務を遂行するためにも協調性やコミュニケーション能力は必須です。



「消防士に向いている人」について詳しく解説した記事もあるので、併せて読んでみてください!
救急救命士の資格は消防士採用試験に有利かどうか


結論から言えば、わずかに有利には働きます。
なぜ”わずか”なのかと言うと、消防士の採用試験合格にもっとも重要なのは、各試験科目の点数をしっかり取れるかどうかだからです。
- 教養試験:いくつ問題が解けるか
- 論文試験:どれだけ自分の主張を読み手に伝えられるか
- 身体・体力検査:どのくらい身体能力が高いのか
- 口述試験:消防士に適正のある人柄なのか
上記の中でも、救急救命士の資格があることをアピールできるのは、口述試験(2次試験の最後)のときだけです。
消防士の採用試験は難易度が高く、1次試験の時点で不合格になってしまう人も多いため、資格所持は合格のための”最後のひと押し”くらいに考えておきましょう。



あまり資格に期待しないほうが、慢心することなく試験に臨めます!
まとめ:救急救命士は資格取得のためのルート選択が重要
患者が病院に着く前の処置を施すために必要な国家資格「救急救命士」は、取得するためのルートが2種類あります。
- 【専門学校や大学に通うルート】
専門課程がある学校に通い、2~4年間必要な教科を履修し、試験を受けて合格する。 - 【消防士になってから取るルート】
消防士としての勤続年数が5年以上、もしくは救急業務に携わった時間が合計で2,000時間以上あり、必要な講習を養成所で受けた後、試験を受けて合格する。
どちらのルートも一長一短があるため、将来自分はどうなりたいのかというビジョンを明確にし、そのために今自分はどうするべきなのかをしっかりと考えることが重要です。
そのうえで、救急救命士をいつ取るべきなのかを判断しましょう。
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