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東京消防庁採用試験は、令和6年度試験から実施内容が変わり、SPI3という試験(検査法)が導入されました。
従来の教養試験とは異なる部分も多く、どのような試験なのかわからずに困惑している人も多いでしょう。
そこで今回の記事では、SPI3がどのような試験なのかを解説するとともに、教養試験との違いや実際に出題される問題、対策法についてご紹介していきます。
試験の概要を理解し、いち早く試験対策をして東京消防庁に合格したい人は、ぜひ最後までご覧ください。
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SPI3は能力と性格を同時に見るための適性検査
SPI3(Synthetic Personality Inventory:総合適性検査)は、リクルートのグループ会社であるリクルートマネジメントソリューションズが提供する、企業・組織が受験者(応募者)に対して行う適性検査です。
能力と性格を同時に検査でき、近年では多くの企業の採用試験や、公務員試験でも導入されています。
この適性検査は、学歴や試験の点数など表面的な情報だけでなく、「個人の資質をベースとした採用選考にしたい」という考えから生まれました。
1973年に初版のSPIが登場して以来、改良を重ねて2005年にはSPI2が、2013年にはSPI3が誕生し、マークシート方式である「ペーパーテスティング」や、自宅等からWEB上で受験ができる「WEBテスティング」、各地の会場に設置されたPCで受験する「テストセンター」、企業が準備したPCを使って受験させる「インハウス」など、さまざまな受験方式が取られています。(※東京消防庁はペーパーテスティングのみ)
ちなみにSPI3の“3”はバージョンによる数字であり、他のバージョンと違う点は、性格検査があるかどうかです!
能力検査
能力検査は、論理的思考や情報処理など、知的能力を測定する検査です。
知識を素早く吸収し、理解・応用ができるかどうかなど、地頭の良さやポテンシャルの高さが見極められます。
以下に、東京消防庁採用試験の場合の出題範囲をまとめました。
東京消防庁の能力検査の出題範囲
出題分野 | 問題数と解答時間 | 出題範囲 |
---|---|---|
言語分野 (国語的な知識) | 30分 40問 | 二語の関係 語句の意味 語句の用法 長文読解 |
非言語分野 (数学的な知識) | 40分 30問 | 推論 場合の数 確率 集合 損益算 速度算 表の読み取り 料金の割引 分割払い 装置と回路 物の流れと比率 不等式と領域 |
従来の教養試験にSPI3を当てはめると、言語分野は文章理解にあたり、非言語分野は数的処理にあたります。
構造的把握力の出題範囲は少々複雑ですので、記事の後半にて詳しく解説しました。
おそらく、従来の教養試験から大幅に出題範囲を変えないはず!とはいえ、変更される可能性もありますので、十分に注意しましょう。
性格検査
性格検査は、受験者の性格の特徴や、価値観を計測する検査です。
仕事上での人柄や、困難な場面での対応力など、思考や行動パターンの特徴が見極められます。
解答時間は40分で、問題数は300問と多いため、考え込まずに素早く、素直で正直な解答をしましょう。
問題は性格診断のようなものですので、「難易度」は存在しません!そこまで気負わずに受けましょう。
SPI3と教養試験の違いとは
良くも悪くも、採用試験にSPIが導入されたことは、受験者に非常に大きな影響を及ぼします。
両者の違いをよく知り、少しでも不安をなくしていきましょう。
試験内容の違いは?
SPI3と教養試験の試験内容の違いを、以下にまとめました。
受験方式 | SPI3 | 教養試験 |
---|---|---|
解答時間 | 能力検査:1時間10分 性格検査:約50分 | 2時間 |
問題数 | 能力検査:70問 性格検査:300問? | 45問 |
回答形式 | 五肢択一 マークシート | 五肢択一 マークシート |
科目 | 能力検査 言語分野、非言語分野 性格検査 | 文章理解 英文理解 判断推理 空間概念 数的処理 資料解釈 人文科学 社会科学 自然科学 |
出題範囲 | 広い | 膨大 |
採用人数 (令和6年度) | 専門系:10名 Ⅰ類1回目:100名 | Ⅰ類1回目:250名 Ⅰ類2回目:100名 |
SPI3は、試験内で性格検査も同時におこなっているため、教養試験とは違い、別途で適性検査を受ける必要はありません。
SPI3を受けるかどうかは受験区分によって変わる
SPI3は、全受験区分で受けられるわけではありません。
わかりやすいように、受験区分ごとに1次試験の受験方式をまとめました。
受験区分 | 専門系 | Ⅰ類 | Ⅲ類 |
---|---|---|---|
受験方式 | 適性検査(SPI3) 論文試験 専門試験 | 適性検査(SPI3) 教養試験 論文試験 適性検査(性格検査) | 教養試験 作文試験 適性検査(性格検査) |
注意点 | SPI3のみ受験可能 | 1回目試験はSPI3/教養試験を選択 2回目試験はSPI3の受験不可 SPI3を選択した場合は性格検査なし | 教養試験のみ受験可能 |
上記の表を見てわかるとおり、Ⅰ類の2回目試験やⅢ類を受験する人は、SPI3を受けられないため、対策をする必要はありません。
難易度はどちらのほうが低いの?
問題の難易度だけで言えば、教養試験のほうが高いでしょう。
SPI3は一般的な中学・高校レベルの問題なのに対し、教養試験は専門的な科目(科学・物理・法律等)があるため、難易度が上がります。
しかし、SPI3は1問にかけられる時間が非常に短く、焦って解答を間違えてしまい、意外に点数が取れないということも。
さらに、SPI3は難易度が低いため、受験生全体が高得点になり、他の受験生との差がつけづらくなることが予想されます。
以上のことから、問題の難易度は教養試験のほうが高いものの、筆記試験だけで他の受験生と差をつけるのは、SPI3のほうが難しくなるはずです。
どちらの難しさを取るかどうかが、合否を分けることになりそうですね。
東京消防庁がSPI3を導入した理由とは
あくまで予想ではありますが、東京消防庁がSPI3を導入した理由は、上記のような理由が考えられます。
日本で1番大きな消防組織である東京消防庁は、多くの良質な人員を確保するために、できるだけ短時間で、効率よく採用試験をおこなわなければなりません。
大勢の受験者を選別するなら、従来の試験方式よりもSPI3のほうが選別しやすく、さらに受験者側にもプラスになることが多いと考えたはずです。
では、導入する理由について詳しく見ていきましょう。理由を知れば、受験者にとっても良い変化であるとわかるはず!
より効率的に受験者を絞り込めるから
SPI3を導入することによって、面接前の初期段階で、ある程度受験者の人柄を判断できるようになります。
従来では、短時間の面接のみで受験者の人柄を判断しなければなりませんでした。
しかしSPI3導入後は、面接時に態度を変えている受験者の本質的な部分を測れるようになりますし、面接時にもより深く掘り下げた質問ができ、面接官が効率よく受験者を絞り込めます。
面接官自体の面接経験の多寡にかかわらず、平等で正しい合否が出せるようになるため、組織の負担が減るんですね!
ミスマッチを防げるから
SPI3の性格検査を受けさせることで、受験者の特徴を把握し、業務や組織への順応力があるかどうかなど、消防士という仕事とミスマッチがないかを確認できます。
東京消防庁と受験者、相互が求めることのミスマッチを防ぐことで、早期退職を防ぐことや、働きやすい環境を整えることが可能です。
ミスマッチが防げるという点で、東京消防庁がSPI3を導入したことは、受験者にとってもメリットになり得ますね。
受験者の特徴がある程度判断できるから
従来の教養試験の結果や、面接では把握しきれない受験者の本質が、SPI3によってわかるようになります。
さまざまな角度から受験者の本質を見抜けることに加え、面接官の主観に左右されることなく、公平な評価が可能です。
従来は面接試験の評定に重きを置かれていましたが、受験者に対する重要な判断材料となるSPI3は今後、面接と同程度に重要視されるでしょう。
まだ東京消防庁側も試運転の段階ですが、導入した結果が良ければ、全受験区分で導入されるかもしれませんね。
適切な人員配置をしやすくなるから
一般企業においては、SPI3の性格検査により、受験者の仕事の進め方の傾向や、職場への適応のしやすさがわかることで、人事部が適切な人員配置をしやすくなるというメリットがあります。
東京消防庁の場合、実際は人事部にしかわからないことですが、合格した受験者をどの消防署に配属するのか、SPI3の性格検査の結果によって判断する可能性もあるはずです。
「ガツガツと厳しい環境に身を置きたい人はこの消防署」「コツコツと着実に力をつけたい人はこの消防署」など、適性に合った配属先にしてくれると嬉しいですね。
SPI3の各分野の対策法と出題例を紹介
SPI3がどのような試験なのかわかったところで、どう試験合格に繋げていくのか、対策法と出題例をご紹介します。
まずは、どの分野にも共通する対策法について、詳しく見ていきましょう。
どの分野にも共通する対策法
SPI3の試験対策をする際には、以下のことを意識しながら学習しましょう。
- 問題集を何度も解く
- 時間を測りながら解く
- 模試を受ける
当然ですが、問題集は教養試験のものではなく、SPI3専用のものが必要です。
SPI3は問題数が多く、解答時間が少ないことが特徴ですので、言語分野なら1問40秒、非言語分野は1問80秒など、時間を測りながら問題を解きましょう。
模試を受ければ、実際に時間に追われながら回答しなければならないため、本番の雰囲気にも慣れるはずです。
言語分野の対策法と出題例
言語分野で最初にしたい対策は、語彙力(熟語・ことわざを含む)をつけることです。
出題範囲を広範囲でカバーでき、高得点が狙えますし、比較的短期間で身につきます。
長文読解は設問から読むことで、文章の内容が大まかに把握でき、問われている重要な箇所のみを効率よく読み進められるので、ぜひ試してみましょう。
個人的におすすめなのが、日々新聞や小説を読むなど、活字に少しでも慣れておくことです!語彙力はもちろん、一朝一夕では身につかない読解力も鍛えられます!
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正答:C
非言語分野の対策法と出題例
非言語分野は出題範囲が広いため、言語分野よりも優先して対策しましょう。
公式やパターンを覚えれば、短時間で解答できる問題も多いため、何度も繰り返し問題を解き、「この種の問題はこの公式・パターンで解けば大丈夫」という感覚を身につけることが大切です。
問題を解いていてわからないところがあった場合は、自力で考えて数学的な脳を1から作り上げるよりも、すぐに解説を確認し、解き方から学ぶほうが短時間で対策できます。
文系の人は大変かもしれませんが、捨てることはできません。高得点を取るためにも、徹底した対策が必要です。
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正答:G
性格検査の対策法と出題例
性格検査では、以下の4つのポイントが見られます。
- 行動的側面
物事に対してどのような行動パターンを取るかを見る。内向的なのか外交的なのか、物事に継続的に取り組めるのか、思慮深いのかが把握できる。 - 意欲的側面
目標に対する行動意欲を見る。向上心や積極性など、仕事に対するモチベーションが把握できる。 - 情緒的側面
強い不安やストレス下に置かれた際に、どう感情をコントロールするかを見る。周りと自分のどちらを尊重するのかや、ポジティブなのかネガティブなのかが把握できる。 - ライスケール
嘘をついていないかを見る。虚栄心や自尊心を持っているかが把握できる。
性格検査で注意しておきたいことが、絶対に嘘をつかないということです。
回答に一貫性がなく、嘘をつく人間だと思われてしまった場合、警察官に合わないと判断され、不合格となる可能性があります。
自身の性格をよく知り、スムーズに解答できるようにするためにも、自己分析をしておくのがおすすめです。
自己分析は面接対策にもなるため、確実におこないましょう!
東京消防庁採用試験におけるSPI3のまとめ
令和6年度試験より導入された、SPI3についてのまとめです。
- 能力検査では、現代文的な問題の「言語分野」と、数学的な問題の「非言語分野」が出題される
- 性格検査では、いわゆる性格診断のような問題が出題される
- 性格検査で嘘の回答をすると、不合格になりかねないため注意
- SPI3は教養試験と比べ、問題数が多くなく、難易度はそこまで高くない
- 全員が高得点を取ると予想されるため、他の受験生との差がつけづらいことが予想される
東京消防庁側からしても、おそらくSPI3はまだ様子見の段階でしょう。
受験者にとっても対策しづらいかもしれませんが、初期段階である程度知識を得ておけば、情報に乏しい受験者よりも有利に対策できるはずです。
今できる試験対策を最大限おこない、試験合格をより近づけていきましょう。
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コメント
コメント一覧 (2件)
お忙しいところ失礼します。
質問です。
SPI3の能力検査に、英語及び構造的把握は出題されるのでしょうか。
試験時間の観点から考えて、午前9時40分開始で試験説明があり、午前10時00分に試験開始とすると、言語分野(30分)、非言語分野(40分)、性格検査(40分)、昼食(60分)、小論文(90分)で14時30分頃になるかと思います。
また試験の間に5〜10分程度の間隔を空けると、試験終了予定時刻の14時55分となります。
このように考えると能力検査の出題範囲は言語分野及び非言語分野のみではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
長々と失礼しました。
よろしくお願いします。
藤野涼 様
返信が遅くなり申し訳ございません!
今年が初めてのSPIなので分かりかねますが、不安であれば対策することを推奨しております!
もしかしたら出題があるかもしれないので!