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「総務省消防庁」と「東京消防庁」は、どちらも消防庁という名前が付いています。
しかし、両者が担っている業務や役割は、まったく異なることをご存じない人も多いことでしょう。
そこで今回の記事では、総務省消防庁と東京消防庁にどのような違いがあるのかを、役割や仕事内容、なり方、給与など、さまざまな面から解説していきます。
消防に関する正しい知識を蓄えるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
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それぞれの違いを表で比較
総務省消防庁と東京消防庁の違いについて、大まかな違いをわかりやすく表にまとめました。
機関名 | 総務省消防庁 | 東京消防庁 |
---|---|---|
管轄元 | 国 | 東京都 |
職員の種類 | 国家公務員 | 地方公務員 |
主な業務 | 全国の消防機関の統括 消防に関する法律・制度の制定 | 都内の災害に対する消防活動 都民の命・財産を守る |
なり方 | 国家公務員(総合職)試験に合格 官庁訪問に合格 | 東京消防庁採用試験に合格 消防学校の入学・卒業 |
初任給 | 約25万~28万円 | 約23万~27万円 |
それぞれの違いの詳細については、後ほど詳しく解説します。
内容を理解するためにも、まずはざっくりと概要を掴んでおきましょう。
総務省消防庁とは?
総務省消防庁は、全国の消防行政を統括している“国”の行政機関です。
東京都千代田区霞が関(各中央省庁の庁舎がある場所)に所在しています。
働いている職員は全員、国家公務員です。
総務省消防庁について、以下の項目を中心により詳しく解説していきます。
総務省消防庁の役割・仕事内容
総務省消防庁の主な役割・仕事内容を、庁内の各組織ごとにまとめました。
ボリューム満点の内容ですが、興味がある人は知っておきましょう。
- 【総務課】
職員の人事や福利厚生、予算・決算等の事務、広報、消防組織の制度制定、消防職員や消防団員の表彰、他省庁との連絡調整など、消防行政に関する業務を幅広く担う。 - 【救急企画室】
全国でおこなわれる救急業務について、現場における諸課題への対策や、実施体制の充実・強化、医療機関との連携を推進する。近年の救急車出動件数の増加に伴い、緊急性の高い人が優先的に救急車を利用できるよう、地域住民に対する指導もおこなう。 - 【危険物保安室】
消防法で指定される「危険物」(火災発生の危険性が高かったり、火災を拡大する危険性が大きかったりする物品)の貯蔵方法や取り扱い、運搬方法に対して、技術的な支援をおこなう。また、危険物に関わる制度の制定などを担う。 - 【防災課】
地域住民の安全を守るため、防災対策に関する法令・制度・計画の企画立案を担っている。大規模な自然災害に備え、各公共施設の耐震化や津波発生時の避難計画策定など、地方公共団体の災害対応力を向上させる取り組みも。 - 【地域防災室】
各自治体に配置されている「消防団」を強化することで、地域の防災体制強化を図るための組織。地域住民への消防団加入の促進や、消防団員が扱う備品の充実化も担う。 - 【応急対策室】
応急体制マニュアルの作成や、内閣府との情報共有、災害本部設置など、災害時におけるオペレーション強化を担う。災害発生時の対応に万全を期すため、災害対応訓練などのシミュレーションもおこなっている。 - 【参事官】
各消防本部に配置されている救助隊の技術向上のため、最新装備の導入検討や、テロ災害に対応するための研修・訓練を推進する。また、海外で大規模災害が発生した際に、救助隊の派遣や資機材の支援もおこなう。 - 【消防・救急課】
各自治体における消防体制の強化や、消防職員の勤務環境改善に取り組む。また、消防能力を向上させるべきと判断した地域に対して、財政支援もおこなう。 - 【予防課】
住宅火災対策や放火予防対策など、地域住民に対して火災予防を普及させる。各施設における防火管理者の選定をおこない、火災に対する自衛を促す取り組みも。 - 【特殊災害室】
石油コンビナートへの防災対策を促したり、原子力災害等の特殊災害への対応強化をしたりするため、最新の資機材を支援するほか、研修等を実施する。 - 【国民保護室・国民保護運用室】
諸外国による武力攻撃を受けた際の避難施設指定や、弾道ミサイル飛来時の対応パターン作成、Jアラート等の情報伝達システムの開発等を担う。 - 【広域応援室】
大規模災害発生時に、被災地以外の各都道府県から応援に駆けつける応援部隊「緊急消防援助隊」の充実・強化を図るため、訓練や資機材の整備をおこなう。 - 【防災情報室】
大規模災害時でも使用可能な、強力な無線通信ネットワークの整備や、被災地の画像を各機関に伝送するためのシステム開発をおこなう。 - 【施設等機関】
一部の消防関係者に対し、幹部としての高度な教育訓練をおこなう「消防大学校」や、日本で唯一の消防防災研究機関である「消防研究センター」を有している。
総務省消防庁は上記のように、少々難しい業務を担っているのですが、簡単にまとめると、消防士のように実際に現場に出る業務というよりも、消防に関する法律や制度の制定、各機関に対する呼びかけなど、上流工程の業務を担うのが特徴です。
実は現場での消防活動における指揮権限は有しておらず、現場対応や指揮は、各地方公共団体の消防本部が独立しておこなっています。
単に「消防庁」と呼ぶ際は、東京消防庁ではなく総務省消防庁のことを指すので、覚えておきましょう!
総務省消防庁で働くために必要なこと
総務省消防庁で働くためには、人事院がおこなう国家公務員の「総合職試験」に合格し、「官庁訪問」を受けて採用される必要があります。
総合職試験は大卒程度・院卒者試験のみおこなわれており、難易度は非常に高めです。
技術系の職員として、理系のみの募集ですので、文系の人は注意しましょう。
ちなみに官庁訪問とは、受験者が官庁を訪問し、業務説明や面接を受けるもので、官庁に採用されるための重要な選考ステップです。「総合職試験に合格=採用」ではなく、官庁訪問を受けて、ようやく採用・不採用が決定します。
実は、消防士も「出向」によって総務省消防庁で一定期間働く場合があるのですが、非常に勤務成績が良く、将来を期待される職員でないとその機会もありません。
総務省消防庁の給与
人事院のデータによると、総合職の初任給は、以下のようになっています。
- 院卒者試験:約278,000円
- 大卒程度試験:約250,000円
ちなみに、上記金額は令和4年時の初任給と比べ、11,000円引き上げられています。
正直なところ、国家公務員なのに高くないなと感じてしまいました!
東京消防庁とは?
東京消防庁は、東京都内のほぼ全域の消防防災業務を担っている、“東京都”の行政機関です。
「庁」という名が付いていますが、省庁ではありません。
働いている職員は全員、地方公務員です。
東京消防庁について、以下の項目を中心により詳しく解説していきます。
ちなみに、「都内のほぼ全域」と記載したのは、東京都内でも稲城市や島しょ部などは独自の消防組織を保有していたり、消防団が消防業務を担っている場合があり、東京消防庁の管轄外になるからです。
東京消防庁の役割・仕事内容
東京消防庁の主な役割・仕事内容を、本庁勤務組と消防署勤務組、消防方面本部組に分けてご紹介します。
本庁勤務をする人の役割・仕事内容
本庁勤務をする人は、現場の前線に立つことはなく、管理職として前線に立つ人のサポート業務や指揮など、上流工程的な業務を担います。
- 【企画調整部】
重要施策の企画・調整や、予算の編成・決算など、事務的な業務を担う。 - 【安全推進部】
令和4年度に新たに設置された部。消防職員の職務上の安全対策を執る。 - 【総務部】
各種式典・行事の運営や、公文書開示請求に関連する事務的な処理、国際協力を推進するために必要な事務処理をおこなう。 - 【人事部】
人事管理や職員育成のための委託研修事務、都民に対する防災関連の表彰事務をおこなう。給与関係の昇格・昇給事務や、福利厚生事務などの業務も。 - 【警防部】
警防本部の運営や、消防部隊の運用計画作成、消防戦術の研究・立案をおこなう。総合司令室が置かれており、119番通報の受付・出場指令も。 - 【防災部】
防火防災訓練等の、防災業務に関する方針の策定事務や、震災時の安全対策推進をおこなう。 - 【救急部】
救急隊員の救急技術の向上、都民に対する応急救護知識の普及をおこなう。また、#7119救急相談センターの運営もしている。 - 【予防部】
建築確認の消防同意審査や、危険物製造所の認可事務、防火査察をおこなう。 - 【装備部】
消防活動に必要な資機材の作成・買い入れ・配置に関する事務をおこなう。機関員の育成や技能管理もおこなっている。 - 【消防学校】
新採用された消防職員に対する教育、現職員に対する管理者研修・幹部研修・専科研修等をおこなう。
本庁で勤務する人の多くが、平日の8:30〜17:15(土日祝休みの完全週休2日)で勤務をする、「毎日勤務」という勤務体制を取っています。
消防隊員ではなく事務員の求人に応募するか、隊員として活躍し、昇任して管理職側に回るか、どちらかのルートでしか本庁勤務になれません。
本庁では、デスクワーク的な業務が中心となります!
消防署勤務をする人の役割・仕事内容
消防署勤務をする人の多くは、出動要請を受けることで現場に向かい、最前線で消防活動をおこないます。
毎日勤務を取る人もいますが、窓口業務等の事務的作業をおこなう人のみです。
- 【総務課】
消防職員の採用関係についてや、人事関係についての事務をおこなう「管理係」と、各種手数料事務や、消防署内の文品関係の事務をおこなう「経理係」が存在する。 - 【警防課】
消防団や町内の防災訓練、災害支援ボランティア等に関する事務をおこなう「防災安全係」、道路工事・水道工事に関する届け出業務等をおこなう「消防係」、救命講習の受講申請事務をおこなう「救急係」、消防車両や資機材の問い合わせに対する事務処理をおこなう「機械装備係」が存在する。 - 【予防課】
防火・防災管理者に関することや、防火対象物の点検報告等の事務処理をおこなう「防火管理係」、立入検査や消防用設備の点検報告の届出に関する事務処理をおこなう「査察係」、日を使用する設備等の届け出等の事務処理をおこなう「予防係」、危険物貯蔵等の届け出や、火災原因調査に関する事務処理をおこなう「危険物係」が存在する。 - 【消防分署】
消防署をさらに細分化することで、広い地域をカバーするための分署・出張所を配置している。小規模で人数が少ないため、在籍するほとんどの職員が消防隊員。
消防隊員(消防吏員)として働く人は、シフト制で当番・非番・週休を回す「交代制勤務」という勤務体制を取っているのが特徴です。
東京消防庁の消防士になった人は、まず始めに消防署に配属されることになります。
交代制勤務には「2交代制」と「3交代制」があります。詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
消防方面本部勤務をする人の役割・仕事内容
消防方面本部は、東京都内に10ヵ所存在しており、第一(千代田区・中央区・港区エリア)、第二(品川区・大田区エリア)、第三(目黒区・渋谷区・世田谷区エリア)、第四(新宿区・中野区・杉並区エリア)、第五(豊島区・文京区・北区エリア)、第六(台東区・荒川区・足立区エリア)、第七(江戸川区・墨田区・葛飾区・江東区エリア)、第八(立川市・府中市方面エリア)、第九(八王子市・青梅市エリア)、第十(板橋区・練馬区エリア)方面と、管轄するエリアが分かれます。
水難救助隊や山岳救助隊などの「特別救助隊」が配置されており、消防署では請け負えない高度な消防活動をおこなえるのが特徴です。
- 【指導係】
人事や救急活動、査察に関することなど、あらゆる事務を担う。 - 【警防装備係】
機関員の技術指導、部隊運用、車両の配置、個人装備の管理など、警防関連の事務を担う。 - 【訓練係】
消防活動訓練、演習時の安全管理、訓練場の維持・管理など、消防訓練に関する事務を担う。 - 【防災係】
地域の防災計画、消防団、防災訓練など、地域住民の防災に関する事務を担う。 - 【指揮隊】
災害発生に伴う指揮支援や、災害時の活動報告など、現場指揮に関する業務を担う。 - 【前進機動指揮隊】
第七、第九消防方面本部に配置されている部隊。災害現場の安全管理を確保する業務を担う。 - 【消防救助機動部隊】
第二、第三、第六、第八、第九消防方面本部に配置されている部隊。ハイパーレスキューとも呼ばれる。大規模災害やテロ発生時にも対応できるだけの特殊な技術・能力を有しており、より高度な救助活動をおこなう。
消防救助機動部隊(ハイパーレスキュー)は、各消防方面本部ごとに特色が異なります。
入るのはとても難しいのですが、憧れる人の多い部隊ですので、詳しく知りたい人は以下の記事もご覧ください。
東京消防庁で働くために必要なこと
東京消防庁で働くためには、東京消防庁採用試験に合格し、消防学校で約半年の集団生活を経る必要があります。
試験はⅠ類(大卒程度)とⅢ類(高卒程度)、専門系の3区分に分かれており、1次試験は学力を測る試験と適性試験、2次試験は体力試験と面接試験を実施します。
令和6年度試験から実施方法や年齢制限など、変更点がいくつかありますので、詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
東京消防庁の給与
東京消防庁が発表している令和6年度の募集案内によると、初任給は以下のようになっています。
- 専門系:約276,240円
- Ⅰ類:約269,520円
- Ⅲ類:約232,080円
Ⅰ類とⅢ類に大きな差がありますので、少しでも収入を高くしたいならⅠ類試験を受けることをおすすめします。
この金額から出動時にもらえる各種手当も加算されるため、実際に働いているときも給与はかなり高めだと感じていました!
総務省消防庁と東京消防庁の違いについてのまとめ
2つの消防庁についてのまとめです。
- 総務省消防庁は国の機関(省庁)で、勤めるのは国家公務員
- 東京消防庁は東京都の機関(消防局と同等)で、勤めるのは地方公務員
- 現場に出動し、消防活動をおこなうのは東京消防庁の消防隊員
総務省消防庁と東京消防庁は、同じ「消防庁」というワードが使われていますが、まったく異なる機関です。
このサイトを見ている人の中には、東京消防庁に入りたいと思う人もいることでしょう。
しかし、東京消防庁は他の消防よりも倍率が高く、毎年競争が激しくなることが予想されます。
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