
元東京消防庁職員で、現在は消防士の採用試験合格に特化したオンラインスクール「東消塾」を運営しているTOMO LABOです!
すでに消防士になっている人や、これから消防士を目指そうとしている人は、将来どのくらい退職金が貰えるのか気になるはず。
退職金はライフプランを設計するうえで欠かせない要素ですが、実際にどのくらい貰えるのか把握している人は少ないはずです。
そこで今回の記事では、消防士が貰える退職金の金額について、複雑な計算方法や階級による金額の違いも含めて、詳しくご紹介します。
今後のビジョンに迷いがある人は、ぜひ最後までご覧ください。
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消防士の退職金の計算方法


消防士の退職金の計算方法は、以下のとおりです。
上記の計算式を見るだけだと分かりづらいのですが、消防士の退職金を決める要素は「月給」「退職理由」「勤続年数」「調整額」の4つです。
退職日給与月額は、退職日直前に貰っていた給料を指し、手当等の金額は含まれません。
それでは、計算式に出てきた難しい用語の解説をしていきます。



消防士は、地方公務員の中でも「一般職員」という括りですので、その括りに準じた内容でのご紹介です!
支給率とは
支給率は、勤続年数に応じた一定の割合のことです。
退職理由別に、勤続年数の長さに比例して係数が高くなります。



1年ずつ紹介すると膨大な量になるため、下記の表にて、節目節目の年数のみをご紹介しました!
勤続年数 | 自己都合退職 | 定年退職 | 整理退職(解雇) |
---|---|---|---|
1年 | 0.5022 | 0.837 | 1.2555 |
3年 | 1.5066 | 2.511 | 3.7665 |
5年 | 2.551 | 4.185 | 6.2775 |
10年 | 5.022 | 8.37 | 12.555 |
15年 | 10.3788 | 12.9735 | 19.46025 |
20年 | 19.6695 | 24.586875 | 26.3655 |
25年 | 28.0395 | 33.27075 | 33.27075 |
30年 | 34.7355 | 40.80375 | 40.80375 |
35年 | 39.7575 | 47.709 | 47.709 |
40年 | 44.7795 | 47.709 | 47.709 |
45年 | 47.709 | 47.709 | 47.709 |
自己都合退職→定年退職→整理退職の順に貰える退職金が増えることも覚えておきましょう。



この支給率、1年で自己都合退職でも0.6、最高支給率は59.28だった時期もありましたが、どんどん引き下がってしまいました…。
調整額とは
調整額は、職務内容や技能によって職員の貢献度を評価し、その評価に準じて反映される金額のことです。
地方公務員の号俸は「号」や「級」によって定められており、消防士でいえば階級がこの「号」や「級」に反映されます。
多くの消防本部では、調整額は号俸によって一定の金額に設定されており、退職金にはその金額が加算されます。



1号上がるごとに5,000円〜1万円程度、調整額も上がるよ!
実際に貰える退職金をシミュレーションしてみよう
退職金の計算方法がわかったところで、実際にどのくらい貰えるのか、先ほどご紹介した例をもとに、シミュレーションしてみましょう。
設定は、大卒から消防士になり、消防副士長を1年勤め、辞める直前の給料は月23万円、計6年で自己都合退職した場合です。
3.0132という数字は先ほどの支給率表に記載はありませんでしたが、6年勤続した場合の支給率です。
調整額を決める号級ですが、消防副士長を第9号とし、第9号の調整額を21,700円とした場合は、このような計算式になります。



あくまで一例です!実際に貰える額は、源泉徴収等も入ってもっと少なくなります!
東京消防庁の退職金の計算方法


東京消防庁は、東京都の職員になりますので、他の自治体と支給率・調整額が異なります。
ちなみに、計算方法自体は【退職手当 = 基本額(退職日給料月額 × 支給率)+ 調整額】で変わりません。
東京都の支給率
東京都の支給率は、先ほど表でご紹介した調整率よりも少し高くなります。
勤続年数 | 全退職事有共通支給率 |
---|---|
1年 | 0.9 |
3年 | 2.7 |
5年 | 4.5 |
10年 | 9.0 |
15年 | 15.0 |
20年 | 23.0 |
25年 | 30.5 |
30年 | 38.0 |
35年 | 43.0 |
40年 | 43.0 |
自己都合・定年・整理のどの退職事由でも、共通した調整率が設定されているのが特徴です。
東京都の調整額
東京都が発表している、退職手当における調整額の計算式を以下にまとめました。
先ほどご紹介した調整額は、号俸によって一定額が定められていましたが、東京都は階級に準じた点数 × 単価で計算します。
それでは上記の計算式を踏まえたうえで、職責点数と、消防の階級とそれに準ずる役職について見ていきましょう。
主な役職 | 部長 | 課長 | 統括 | 課長代理 | 主任 | 主事 |
点数 | 35 | 30 | 25 | 20 | 15 | 10 |
消防の階級 | 消防監 | 消防司令長 | 消防指令 | 消防司令補 | 消防士長 | 消防副士長 |
仮に消防副士長を96ヶ月、消防士長を96ヶ月、消防司令補を48ヶ月の、計240ヶ月で退職した場合、調整額の計算式は以下のとおりです。
上記のように働いた場合、調整額だけで369万円以上貰えることになります。



東京都の職責点数に、おそらく対象となるであろう階級を当てはめた、一例の数値です!実際には異なる場合がありますので、一例としてお考えください!
実際に貰える退職金をシミュレーションしてみよう
設定は先ほどと同じで、大卒から消防士になり、消防副士長を1年勤め、辞める直前の給料は月23万円、計6年で自己都合退職した場合です。
調整額を決める「退職前240ヶ月の職責合計点数」ですが、最後の12ヶ月に務めた「消防副士長」以外は、1番低い階級「消防士」でしたので、点数は付きません。



あくまで「東京都だとこの程度貰えるかもしれない」という一例です。源泉徴収も入りますし、実際に一致した金額が貰えるわけではありませんので、注意しましょう!
消防士の退職金に関するQ&A
消防士の退職金に関して、よくある質問や知っておきたいことを、Q&A形式でまとめました。
消防士の退職金についてのまとめ
消防士の退職金について、覚えておきたいことのまとめです。
- 退職金 = 基本額(退職日給料月額 × 支給率)+ 調整額
- 退職日給料月額は手当等が含まれない”給料”
- 支給率は勤続年数に応じて高くなる”係数”で、退職理由によっても係数が異なる(東京都は全退職事由共通)
- 調整額は、自治体に対する職員の貢献度である「号」「級」によって定められる金額
- 東京都の調整額 = 退職前240ヶ月分の職責点数合計 × 単価(1,100円)
退職金は、今後のライフプランを考えるうえで非常に重要な要素です。
消防士は地方公務員ですので、基本的には一般企業の退職金よりも、貰える金額が多くなる傾向があります。
特に東京消防庁は、支給率や調整額の設定が大きいようなので、これから消防士を目指す人は東京消防庁を狙うのも1つの手かもしれません。
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