元東京消防庁職員で、現在は消防士の採用試験合格に特化したオンラインスクール「東消塾」を運営している友口です!
他業種から消防士に転職したいと思っても、今の業界と違いすぎて不安になる人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、消防士に転職するうえで知っておきたいことについてご紹介します。
不安を少しでもなくして気持ちよく消防士を目指したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
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そもそも消防士の仕事とは
消防士の仕事は、火災・事故・自然災害などから人の命と財産を守ることです。
消防士に憧れる人は多く、東京消防庁だけでも毎年1万人前後の受験者が採用試験を受けています。
そんな人気の職業である消防士の仕事について、以下の内容をより詳しく解説していきます。
消防士になりたいのなら、まずは消防士の仕事についてちゃんと理解を深めておきましょう!
消防士の業務内容
消防士の業務内容は、主に以下の5つに大別されます。
- 消火活動
火災が起きたときに消火を行う。消火活動をするのは主にポンプ隊。 - 救助活動
火災をはじめとする自然災害や事故現場に急行し、人命救助を行う。大規模災害の際は、管轄する自治体以外の地域に赴くことも。救助活動をするのは主に救助隊。 - 救急活動
怪我をした人や重病人に適切な処置を行い、医療機関に搬送する。救急救命士の資格を持っている隊員は、医師の指導のもとで高度な救急処置が可能。救急活動をするのは主に救急隊。 - 防災活動
地域住民の防災意識を高めるための広報を行ったり、消防団に対して活動訓練や防災訓練の指導をしたりする。主に出動要請がない時間帯の業務。 - 予防活動
災害による被害を未然に防ぐため、建物内の防災設備点検をしたり、事業所に対して消防計画の作成などを指導したりする。従業員に対して消防訓練の指導をすることも。こちらも出動要請がない時間帯の業務。
上記で紹介した業務は、24時間勤務を交代制でシフトしていく「交代制勤務」を取る消防士が行う業務です。
「毎日勤務」という勤務形態(平日の朝から夕方のシフトで一般企業と同様の働き方)を取る消防士は現場に出ることはせず、119番を受ける等の通信指令業務が主な活動となります。
上記の通り消防士にはさまざまな業務があり、ただ火事に対応するだけではないんですね!
消防士のやりがい・魅力
消防士のやりがいや魅力は、主に以下のことから感じられます。
- 地域や社会に貢献していることを実感できる
- 救助をした人から直接お礼を言ってもらえる
- 隊員同士の連帯感や絆が感じられる
- 安定した収入があり社会的信用力も高い
- 休みが多い
- 健康的な身体が維持できる
消防士は自分の命をかけて人の命を直接助ける特殊な仕事です。
その特殊性から、他の職業では決して得られないやりがいを感じられるでしょう。
大変ではありますが、リターンが大きいからこそずっと続けられるという隊員もいました!
1日の業務スケジュール
交代制勤務を取る消防士の1日のスケジュールを、東京消防庁を例に簡単にご紹介します。
前日にシフトしていた隊員と交代し、業務を引き継ぐ。
消防車に積んでいる資機材の点検を行う。
前日から引き継いだ事項の共有や、その日の業務内容に関することを話し合う。
各種報告書作成や各施設の立入検査など、各隊ごとにさまざまな活動を行う。
放水・救助・危険物取り扱いなどの訓練を行う。
各種報告書作成・119番対応・勉強・体力錬成・車庫警備など、各隊や隊員によってさまざま。
仮眠室で仮眠をするが、出動要請に備えて活動服のまま寝る。
次のシフトの隊員に業務を引き継ぐため、事務処理・各所清掃・資機材などを行う。
この日は非番となる。
交代制勤務の消防士は、当番(出勤)と非番のサイクルを繰り返し、一定期間で週休が挟まるというシフトが基本になります。
二交代制と三交代制がありますが、少々複雑ですので詳しくは以下の記事をご覧ください。
ちなみに夜中に火災があった場合などは、残業で火災調査などが入ることもあります。
中途採用の大変さについて解説
消防士に転職するうえで、中途採用だと試験合格が大変なのではないかと思う人も多いことでしょう。
採用試験では学力・体力・対話能力など、さまざまな面から受験者を評価します。
多くの受験者が不合格となる高難度の試験で、若い世代に負けない努力をし、中途ならではの強みを発揮しなければ合格は難しいでしょう。
合格のために必要な努力が何か知るためにも、新卒と比べて中途採用が試験において大変だと感じることを、以下の試験項目からご紹介していきます。
論作文試験については中途採用者に不利な点はないため、今回は省略します!
教養試験における大変さ
中途採用の受験者は新卒の受験者と比べ、学業から離れている期間が長い点で不利になる場合があります。
新卒は学業の延長線上に教養試験がありますが、中途採用は忘れてしまった知識を再度入れ直すという行程を踏まなければなりません。
さらに、年齢が高ければ高いほど記憶力は弱まっていくため、自分より若い世代と比べてより一層勉強の時間を増やす必要が出てくるでしょう。
さらに現在の仕事をしながら試験対策を行う必要があるため、勉強に割く時間に限りがあるのも不利な点です。
とはいえ効率的に勉強すれば、上記のような弱みはある程度払拭可能です!
体力試験における大変さ
日々トレーニングをしている人は別ですが、多くの社会人は運動する機会が薄れ、筋力や体力が落ちていることがほとんどです。
一緒に体力試験を受ける若い世代は、部活で鍛えられた健康的な身体の持ち主ばかり。
その差を埋めるためには、長い時間をかけて身体作りをしなければなりません。
本気でトレーニングをしても筋力・体力は一朝一夕では付かないため、最低でも2ヶ月は見ておきたいところです。
まだ身体作りができていないという人は、この記事を読んでいる今日からでも、絶対に取り組み始めるべき!
面接試験における大変さ
面接試験は他の試験項目と比べ、社会人経験がある中途採用にとってはむしろ有利に働くことの多い試験項目です。
部隊で動く消防士はコミュニケーションが非常に大切で、社会の不条理に揉まれた経験のある中途採用者は、その経験が大いに活きてきます。
しかし場合によっては新卒よりも厳しく面接されることもあるため、対策は必須です。
中途採用の受験者の中には、圧迫面接のような雰囲気だったという人もいました。
消防士への転職を成功させるポイント
消防士への転職を成功させるためには、以下のことに留意する必要があります。
消防士は一般企業とはまったく異なる業種です。
決して楽な仕事ではないため、転職して後悔しないためにも、これから解説するポイントをしっかりと押さえておきましょう。
大変な仕事に就くのだという覚悟を持つ
消防士は自分の命を危険に晒すこともある大変な仕事です。
その危険を最大限減らすためにも、厳しい訓練に日々励んだり、厳しい指揮系統のもとで多少の理不尽を被ることがあったりもします。
以下の環境でもやっていけるという自信がないと、仮に採用試験に合格しても長くは仕事が続きません。
- 生活リズムがガラリと変わっても平気かどうか
- 体育会系の業界でもやっていけるかどうか
- 年下の先輩の言うことを素直に聞けるかどうか
強い覚悟がないと、前の仕事のほうが楽でよかったと後悔することになります。
消防士になる目的を明確にする
今の仕事を辞めてでも消防士になりたいという明確な目的がない人は、消防士になったときに「思っていたのと違う」と感じ、すぐにまた転職活動をすることになりかねません。
そうならないためにも今のうちから自己分析をし、「なぜ消防士になりたいのか」「なぜ消防士でなければならないのか」という転職理由をハッキリさせましょう。
この目的がハッキリしないと、面接試験で志望理由や転職理由を聞かれたときに上手く答えられず、不合格になってしまいます。
消防士の仕事を深く知っておく
消防士という仕事の理想と現実のギャップを生まないためにも、どんな仕事なのかを事前にしっかりとリサーチしておきましょう。
本記事である程度消防士に関する知識は得られるとは思いますが、おそらく実態まですべて掴むのは難しいところ。
そこで1つおすすめなのが、消防署見学に申し込んで消防士の仕事ぶりを直に見ることです。
ある程度の業務風景が無料で見られますし、面接試験時に話しのネタにもなるため、行っておいて損はありません。
ネットで得た知識と現場で見た知識とでは、天と地ほどの差があります。(ごく一部ではあるものの)消防士の働く姿を見ることによって、大まかなイメージは持てるようになるでしょう。
消防士になるための流れ
消防士になるには、以下の3つのステップを踏む必要があります。
上記のステップはどの消防本部を受ける場合でも共通しており、絶対に誰もが通る道です。
採用試験に合格すれば消防士を名乗れますが、消防学校を修了して初めて、現場に出て仕事ができるようになります。
各ステップについて、より詳しく見ていきましょう!
受験資格を満たしているか確認する
まずは、受けようと思っている消防本部が設けている受験資格を、自分が満たしているかどうか確認しましょう。
どれだけ強靭な肉体や優れた頭脳を持っていたとしても、受験資格を満たしていなければ受験すらできません。
特に年齢制限は各消防本部によってかなり異なるため、注意が必要です。
年齢・身長・視力の制限について、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
採用試験を受けて合格する
各自治体によって異なりますが、消防士採用試験は1年に1回もしくは2回実施され、受験資格を満たす人のみ、期間内に申し込みをすることで受験可能です。
高卒程度の資格を持つ人はⅢ類、短大程度はⅡ類、大卒程度はⅠ類というように、学歴によって試験区分が分かれています。
それぞれの試験区分で年齢制限が異なるため、注意が必要です。
試験は1次試験(教養・論作文・適性試験)と2次試験(体力・面接試験)に分かれており、1次試験合格者のみが2次試験に進めます。
消防学校で初任教育を受ける
消防学校は、試験区分や年齢問わず合格者全員が初任教育を受けるための養成施設です。
約半年の全寮制生活を通じて、消防士として必要な基礎的な体力・知識・技術などを学びます。
学校と名が付いているものの給料が出ますし、非常に厳しい環境での生活を余儀なくされるため、相応の覚悟が必要です。
消防学校は本当にキツイです…。皆一度は抜け出したくなるでしょう。
消防士の給与・福利厚生・生活について
消防士に転職したい人は、消防士の基本的な待遇についても知っておきましょう。
本気で消防士を目指すかどうかの大切な判断材料になります。
今自分が就いている仕事と比較しながら、どちらが自分に合っているのかを考えてみましょう。
後から後悔しないためにも、必ずチェックしてください!
消防士の平均給与
令和3年に総務省が発表したデータによると、全地方公共団体(さらに全年齢層)の消防士の平均給与は301,083円です。
より分かりやすいよう、東京消防庁の初任給もご紹介します。
- Ⅰ類採用者:約259,300円(地域手当込)
- Ⅲ類採用者:約221,800円(地域手当込)
もちろん東京消防庁は給与の面で全国トップクラスで、地方の消防本部は基本的に上記の額よりも少なくなります。
毎月各種手当が付くため、部隊間や個人間で収入に多少差が生まれることも。ボーナスはちゃんと年に2回ありますよ!
消防士の福利厚生
消防士は現場仕事とはいえ地方公務員ですので、福利厚生は充実しています。
東京消防庁を例に、代表的な福利厚生を以下にまとめました。
- 妊娠出産休暇
妊娠や出産を通じて16週間以内の休暇を付与。
- 育児休業
子どもが3歳になるまで休業することが可能。
- 部分休業
子どもが小学校に就学するまで、勤務時間の始めまたは終わりにおいて、1日につき2時間以内で休業することが可能。
- 育児短時間勤務
子どもが小学校に就学するまで、1週間あたりの勤務時間を短くすることが可能。
- 休日・休暇
毎日勤務は土日祝日休み、交替制勤務は4週間に8日の休みがあり、20日/年の有給休暇のほか、慶弔休暇、夏季休暇、ボランティア休暇、長期勤続休暇も付与。
- 福利厚生施設の利用助成(共済組合施設・保養施設等)
- 相談窓口・ストレスケア
- 同好会やクラブ活動への参加(運動部・文化部等さまざま)
- 職員待機宿舎への居住
待機宿舎は家賃がとても安く、お金が貯まりやすくなるのが特に嬉しいポイントです。
さらに一般企業はスーツを自分で買わなければなりませんが、消防士が業務中に身に着けるものはすべて無料で支給されます。
資産形成がしやすいという点では、消防士は非常に優れていると言えるでしょう。
公務員なので、安定感は抜群です!ライフプランが考えやすいのは大きなメリットですね。
消防士のライフスタイル
本記事内でも少し触れましたが、交代制勤務の消防士は当番・非番・週休のサイクルでシフトしていきます。
非番を休みの日とみなせば、ひと月の出勤日はなんと11日前後しかありません。
実際に東京消防庁で働いていた筆者も「休みが多い!」と常々感じていたほど、時間に余裕が生まれます。
意外にも消防士はワークライフバランスが取りやすい職業ですので、趣味の時間を確保するのも容易です。
生活リズムの変化は、慣れればある程度気にならなくなります!夜間の出動がなくて仮眠時間が長い日は、24時間勤務後でも寝ずに1日中活動することも可能です。
採用試験の効率的な対策法を紹介
消防士へ転職する気持ちが固まったら、すぐに試験対策に取り掛かりましょう。
試験倍率は毎年非常に高く、多くの受験者が落ちてしまいます。
現在就労中の人は限られた時間の中で試験対策をしなければならず、効率化が重要です。
以下の4つの試験項目の効率的な試験対策法を、具体的に解説していきます。
「東消塾」では各試験に対して効率的な対策法を、受講者に合わせて提供しています。気になる人はぜひLINEによる無料相談をしてみてください!
教養試験の対策法
教養試験は、全試験項目の中でもっとも対策に時間のかかる試験です。
効率的に対策をするには、以下のことを実践してみましょう。
- 過去5年分の過去問をひたすら解く
- 配点の高い科目を優先して勉強する
- 短時間でも毎日必ず勉強する習慣をつける
一通り勉強し終えたら、本番のシミュレーションをするためにも模試を受けてみましょう。
本番さながらの環境で問題を解くことで、時間配分も学べます。
論作文試験の対策法
論作文試験でよく出る問題として「グラフを読み解き今後の課題やその解決策を論ずること」や「社会問題に対して消防士としてどのように取り組むべきか」などが挙げられます。
1次試験対策においては教養試験対策に時間を割いてしまいがちですが、論作文試験のほうが配点が高いため、対策は必須です。
- 過去に出題された題材で実際に小論文を書いてみる
- 第三者(プロ)に添削してもらう
- さまざまな時事問題に対して常に関心を持ち、自分なりの意見を持つクセをつける
ただ数をこなすだけではなく、1つの題材に対して深く向き合い、何度も添削をしてもらってブラッシュアップをすることが、上達するための秘訣です。
自分1人だと対策しづらい試験項目ですので、本気で合格を勝ち取りたいならプロに任せましょう。
体力試験の対策法
消防士の体力試験は、基本的に文部科学省が実施している「新体力テスト」をもとに行われます。
ただし東京消防庁では、以下の種目に関しては独自の方法で執り行われるため注意しましょう。
- 1km走
個人でどれだけ速く走破できるかではなく、全員同じペースで走る。自分のペースで走ることは不可能。 - 腕立て伏せ
試験官の合図で15回行う。さらに15回目には、伏せの状態で30秒間姿勢を維持する。こちらも自分のペースで行うことは不可能。
身体作りにおいては、試験で行う種目を実際にこなしていくことが1番効率的です。
上記はあくまで東京消防庁の種目ですが、各消防本部によって若干の種目の違いがあるため、自分が受ける消防本部の試験概要をしっかりとチェックしておきましょう。
体力試験の配点はそこまで高くないため、「新体力テスト」で各種目7点以上取れるだけの身体能力があれば問題ありません。
面接試験の対策法
中途採用者は、現在の職場で面接を経験している人も多いことでしょう。
面接試験対策は、基本的には当時ご自身で行った方法となんら変わりません。
- 第三者(プロ)と模擬面接を行う
- 自己分析を徹底的にする
- 定番の質問内容を知っておく
中途採用者は社会人経験があるわけですから、堂々と落ち着いて面接が受けられるようにしましょう。
また、「なぜ今の仕事から消防士へ転職しようと思ったのか」と絶対に聞かれるため、そこの返しだけは誰にも負けないように準備しておく必要があります。
新卒の受験生よりも厳しく見られる場合(圧迫面接のような感じ)があるため、覚悟して臨みましょう!
消防士転職のポイントまとめ
消防士に転職しようと思っている人が知っておきたいことのまとめです。
- 新卒の受験生と比べ、試験対策において不利な点が多い
- 転職後に後悔しないためにも、消防士という仕事について理解を深める
- 大変な仕事に就くという覚悟を持つ
何度もお伝えしますが、消防士の採用試験の難易度は高く、毎年多くの受験生が不合格になります。
消防士への転職を考えている人は新卒者よりも不利な点が多いため、合格するにはそれ相応の努力が必要です。
しかし、なかなか1人ですべての試験対策を行うのは難しいでしょう。
本気で合格したいけれど合格できるかどうか不安な人は、ぜひ「東消塾」の無料相談を受けてみてはいかがでしょうか。
今後どうするべきかの相談にお答えしますし、試験合格のための有益な情報も発信しています。
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